こんにちは、人形の月 十七代目です。
静岡を皮切りに、静岡・東京・埼玉・名古屋・大阪・京と各地で雛人形・五月人形・お道具等の新作展示会が始まりました。

ツインメッセ静岡を中心に、各お店や工房等で開催されますので、全国から専門店が集まります。
人形業界は、既に来シーズンに向け動き出している訳です。
この時期だけお会いできる、取引先や同業他社の社長様もいらっしゃいますので、会場でお会いすればご挨拶も兼ねちょっとした雑談なども。
様々な方ともお話しさせていただく訳ですが、年に一度この時しかお会いできなく、普段は電話やFAXのみのやり取りですが、マスク越しでもしっかりとお顔を覚えて下さっていて、会社名や私の個人名までも覚えていてくださり、「あ、秀月の○○さん、お久し振りです」と嬉しそうに呼んで下さる方もいらっしゃり、必ずとある作品はそちらで買わせていただいております。
別の作家さんは、気さくに裏表なく面白おかしく真剣にお話ししてくださるのでつい盛り上がってしまいましたが、「この方の作品であれば間違いない」と、買わせていただいております。
とある作家さんは、「もし売れ残ってしまった時は、次の年に安く売る様なことはしないで処分します。材料等が入らなくなって満足のいく仕事ができなくなったらこの仕事は辞めますね」と話したり、実際にそうして「品質を落として、恥ずかしい物を作るくらいならやらない」と辞められた職人さんもいらっしゃいます。
そうした方々は売れる売れないの前にある使命感を持って仕事をされており、覚悟と潔さを持たれています。

こうした方々の作品は業者間の中で後世でも「あの人の作品は良かった・・・」と言われる事も多くなりますね。
我々の様な仕事を知っている職人(人間)が言うのですから、一般のお客様にとっても間違いありません。
他にも色々な職人さんとお話しをさせていただく訳ですが、皆さん口を揃えて「この仕事が好きでね。大変だけれどこの仕事が楽しくて」と目をキラキラさせながらおっしゃられます。
こういうのは私も同じですね。。。
また、そうした方々は皆さん知識も経験もあるので深く、普段は表には出てきませんが、話せば本音で話しますし、何よりも目が違いますね。
最終的には「人」なんです。
ある人物が「良い人形とは売れる人形だ!」と言ったのが25年近く頭の中に残っていますが、私はそうは思いません。
商売ですのでお店により考え方や売り方は様々ですが、私も含め老舗専門店や人形師・甲冑師・頭師といった制作に携わる職人さんたちは、伝えていく事の大切さ難しさ危機感を肌で感じている訳です。

懐かしい新聞記事がでてきましたので・・・
機械で創るのではなく、ひとつひとつ手仕事で創り上げていく訳ですから、無感情で制作はできませんし、自然と愛着も湧いてきます。

ただ売るだけではなく、お子様の健やかな成長と幸せを願い制作し、伝える事を続地道に続け、結果的にお客様にお選びいただき人形の秀月は400年が経ちました。
全国的には数少なくなってしまいましたが、人形師・甲冑師等といった人形の制作に携わる専門の職人さんが頑張っておられます。
そうした方々の新作が、こういった展示会や見本市で業者にお披露目となる訳です。
私自身も各地へ飛び回りますが、寄り道もしますが勉強になる事が多いですね。
こうした作品が、来シーズン各地域の人形専門店に並びお客様にお披露目となる訳ですが、お客様にとっては品物選びは大事ですが、それよりも大事なのはお店選びという事を覚えておいていただければと思います。
さて、しばらく慌ただしい日々が続きます。
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