羽子板に「つくばね」

こんにちは、人形の秀月 十七代目です。

お子様の初正月の羽子板と聞いて、誰もがまず頭に浮かぶのは「羽根つき」ですね。

室町時代、この羽根つきを「胡鬼(こき)の子勝負」といい、お正月の年占いとして末広がりの形をした胡鬼板(羽子板)で胡鬼子(羽根)をつき、その年の平安を祈願したといわれています。

ここで胡鬼子(羽根)ですが、植物の「衝羽根(つくばね)」の異名で、写真の様に黒い錘(おもり)に色のついた羽根が付いています。

この黒い部分は現在ではプラスチック製のものが多いですが、本来は無患子(むくじろ)と言われる木の種子が使われています。

無患子(ムクロジ)の漢字は、「子」 が「患わ無い(わずらわない)」と書いて「無患子(むくじろ)」と読み、魔や厄を「跳ね返す、跳ね除ける」との意味から羽根つきの「羽根」にすることで、厄除けや無病息災など、子供の健康を願ったものなのです。

他に「数珠」にも使われたり、実にはサポニンという成分が含まれている為、昔は天然の洗剤として利用されていたり、黒い実を豆にみたてて、魔滅(まめ)で魔除け、マメに暮らすといった縁起担ぎもあるようです。

こうして、お正月に子供が羽根つきをするのには意味があったんですね。

無患子(むくじろ)の実は、とても堅くて種子の中でも特に優れていて、少しぐらいの衝撃ではビクともせず、硬い場所に落とすと良く跳ねることから羽根つきの羽根にも使われたようです。

こうして羽子板と衝羽根(つくばね)は、どちらも日本の伝統的な遊びや飾り物に関連する言葉なんですね。

秀月では、羽子板飾りをご成約いただいたお客様には、この「衝羽根(つくばね)」をお付けしております。

これも、羽子板飾りがただの飾りではなく、お子様の健やかな成長を願ってのこと。

こうして、本来それぞれのお飾りにはそれぞれきちんと意味があるものなのです。

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人形師・甲冑師 十七代目 人形の秀月

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