秀月オリジナルの兜 制作中

こんにちは、人形の秀月 十七代目です。

工房では、私が黙々と新作の兜を制作しております。

既に完売の兜もあるのですが、先ずは小さな兜から。

写真は兜鉢といって、ちょうどヘルメットの部分ですが、秀月では5号(メーカーにより号数は異なります)といって最も小さな兜のひとつです。

小さくともプラスチックでは無く、一枚一枚鉄片を矧ぎ合わせた「合わせ鉢」を使用するのも高品質のポイント。

小さくとも手間は変わらなく、逆に小さいほど難しくなったりもしましから、単純に「小さい=安価」というのは間違いで、素材をプラスチック等にして素材の質を落とさない限り、極端に価格は変わらないと思っていただいた方がよいかもしれません。

万が一「小さくてお手頃ですよ」などとと説明されたら、物が分かっていないお店として、見るだけ見てスルーされた方が賢明です。

さて、上の写真の兜鉢には無数の金の金具が取り付けてあります。

これは我々は「星」と呼んでして、取り付ける事を「植える」と言います。

この「星」というのがとても小さく、1cmに満たない大きさとなります。

私の指も大きいかもしれませんが、星が小さいのです。

足割れになっていますので、兜鉢に植えて内側から足を開いて固定していく訳です。

さらに、一番上の写真には星と兜鉢の間に、一枚ワッシャーがかませてあるのがお分かりになるかと。

それがこちら。

分かりやすい様に、小型ペンチの先で摘まんでみましたが、こんなに小さくともギザギザが付いた鋼鉄製で、鍍金が施してあります。

これもちゃんと上下があるんです。

何気ない小さなワッシャーかもしれませんが、付けると随分と見栄えが変わりますので。

この星たちが綺麗に収まる様に、鉄板を矧ぎ合わせ穴を開け黒い塗装を施してある兜鉢ですが、最近では艶消しの物もありますが、99%のお客様が従来の艶有の兜鉢の兜を選ばれますね。

さらに、このワッシャーを使用しない兜もありますので、その場合は数種類の大きさの星を使い分けていきます。

一番上に植える星は、写真の様にさらに小さな星となります。

私の指が特別大きい訳ではありませんが、星の小ささがお分かりいただけるかと。

こんなに小さくても、しっかりと形が形成され足割れになっているのが凄いなとつくづく思います。

そして次に少し大き目の星。

とはいうものの、十分に小さな星ですが、こえだけでも三種類の星を使い分けている訳です。

それぞれの大きさはというと・・・

小さくてうまく測れませんが、高さは数ミリ~1cm程度です。

そして幅はというと・・・

それぞれが2~3mm程度でしょうか。

ですのでくしゃみをすれば飛んでいってしまいますし、年末に風邪をひいた時には咳をしただけでどこかに飛んで行ってしまい、座っている座布団をひっくり返して探したりしたものです。

集中する作業となるので、電話が鳴っても出られず、声を掛けられても答えられずで、ひたすら黙々と星を植える作業に没頭します。

兜にもよりますが、写真の兜の場合、星だけで単純に40個植え、さらに前後に方白(ほうじろ)という金具や篠垂れ(しのだれ)とう金具や、頂点には八万座(はちまんざ)という金具を付けていきますので、この兜鉢だけでも膨大な仕事量となる訳です。

金具があまりに小さい為、最近では老眼鏡の上にハズキルーペを付けたダブル使用で、とてもお客様には見せられない姿で黙々と制作しておりまして。

こうした仕事は早くやろうとすると雑になりますので、手の早さよりも効率を上げる方法を取り、例えば三種類の金具の置き場所・置き位置もそうですが、見るよりも触った瞬間に指先の感覚で違いが分かる様にしなければなりません。

見て確認している様では遅い訳です。

触った瞬間、見た瞬間に「あれ?」と違和感を感じたら、先ず間違いなく変形してしまっているか何らかの間違いが起こっていますから。

先ず感触として、私の指は太いですが五本の指の感覚を研ぎ澄ませ、いつもと違う感覚があったら何かが間違っている状態になっており、仕事は早くするのではなく、効率よく丁寧にし、ある程度の早さは手が慣れてしまう程度に抑える必要があります。

慣れてしまうと調子に乗り、「これくらい・・・」という感覚が出てきてミスをしますから。

これは、我々の仕事では当たり前であり普通の事で、マニュアル云々やパソコン云々と言っている様では勤まりませんし、体得し会得する事で仕事が早くなりますから。

私自身、父から教えてもらった事はなく、「見て覚えろ!」「仕事は見て盗め!」と厳しく言われ続けていましたから、パソコンや流行のAIよりも正確で早い自信が(少し)あります。

その昔の若かりし頃、「こういうのはパソコンで管理すればいい」とばかりにやってみましたが、部品の数といい、仕様といい、とても管理しきれるものではなく、父に「○○野郎!そんなことして仕事になるか!!いい加減にしろ!!!」と怒鳴られ撃沈した記憶がありますが、まさにその通りですね。

直ぐに回想録に浸ってしまいますが・・・そうして出来上がったワッシャーを使用しない兜鉢がこちら。

下には大きな星を植え、上に行くほど小さな星を植えます。

こちらの兜鉢の方がスッキリしているかな、と思いながら見比べてみると・・・

向って左がワッシャー付きで、右がワッシャー無しです。

好みにもよりますが、一般的には右側のワッシャー無しの方が多いですね。

角度を変えると・・・

兜鉢中央の黒く穴だけ開いている部分は、別の金具を取り付ける部分です。

今は「これくらい・・・」と思うかもしれませんが、最終的に完成すると「これほどに・・・」と変わる訳です。

こうした事も実際に制作しているからこそお伝えできるのですが、売るだけの店ではこうした仕事は知らず、ただ大きい小さいや装飾云々しか知らないので屏風を派手にしたり、収納飾りにしたりと兜本体の創りは関係なく、周りのお飾り類で差を付けている様に思いますがいかがでしょう。

私的には、主役を置き去りにしてはどうかと思うのですが。。。

そうした事もその販売店カラーですので一概には言えませんが、製造元として作っている本人が言うのですから間違いないでしょう。

オールプラスチック製や鉄板でも極薄のペコペコの物であったりと、五月人形に関しては素人の方では良い悪いの判断が難しい事は確かで、お客様でも「これがプラスチックと言われても正直分からない・・・」ともおっしゃられますので、それこそ商品選びよりもお店選びが重要となってきます。

特にネットで販売している鎧や兜は、素材等も細かく書かれてはいませんから注意が必要ですね。

作者も誰かチェックをお忘れにならない様に。

などと考えながら、突然この様な突拍子もない兜を制作したりして遊びます。

フランス向けに制作した、フレンチブルーを基本とし、星を金と銀で使い分け華やかにした特注の兜鉢。

しかし、よくよく考えると、海外の方は自国のカラーの兜等が欲しいのではなく、日本のカラーの日本の兜等が欲しい訳で、瞬間的なウケはありますが長続きはしないので少しだけでボツとして、その様な当たり前の事に気付いたりもするのでした。

製造元だからこそできる遊びですね。

ここから徐々に仕上げていく訳ですが、全て手仕事ですので時間も手間も掛かります。

その様な中で、ありがたい事にお客様もご来店され、セミオーダーの兜で既に完売の兜もありますが、創りながらですので相変わらず作業着に前掛け姿での接客をご理解下さいませ。

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創業400年 節句人形 製造・卸・販売
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