神奈川県横浜市のN様より、陣屋提灯の修理を承りました。

かなり前の陣屋提灯で、火袋が破れてしまっています。
何十年も前の陣屋提灯ですが、上下の輪は木製ですし、飾金具も綺麗ですし、房も正絹で色落ちもなくとても綺麗ですね。
N様は対でお直しをご希望という事ですので、今回も出来るだけ使用できる金具類はそのまま使用し、費用を抑える様にしながら修繕していきます。
それにしても、陣屋提灯を修理される方は皆さんとてもいい風合いになっていますね。
壊れてはしまっていますが、年月とともに変色し、これが壊れていなかったどれだけ良い「あじ」のある陣屋提灯になっているかと思います。
近年では、お祭りなどでは破れない様にとプラスチック製の物もありますが、やはり紙の方が年月とともに風合いも増して個人的には好きですね。
さて、単に修繕と言ってもこの火袋だけでも寸法がいくつかあり、他所が作ったものであると余計に難しくなります。
上下の木製の輪に入る様に合わせる訳ですが、これがメーカーにより若干大きさが異なる事もありますので。
この輪がプラスチック製というものもありますが、やはり木製の方が自然で美しいですね。
そして、その輪についている金具ですが、N様の様に無くされておらずそのまま使用できれば良いのですが、無くされた場合は同じ物があれば良いのですが、無い場合は同じ大きさで金色になってしまったりと、いろいろと変わってきてしまいます。
これは房も同じです。
こうしてお預かりし、専門的な目から使用できる物はなるべく使用する様にしていきます。
もちろん、全ては専門の職人による手仕事ですので。
そうして修繕が完了した陣屋提灯がこちら。

中に保護の紙が入っていますので、この場では完全に開く事はいたしませんが、綺麗に修繕されたのがお分かりいただけるかと思います。
これで、上下の輪や金具、房はそのまま使用しておりますが、新品同様で綺麗になりました。
そしてN様は、ご家紋の「丸に沢瀉」を手描きでご希望されましたので手描きに。

この御家紋は、印刷と手描きがあるのですが、実は皆さん手描きを選ばれる方が多いんです。
確かに手描きの方が若干お高くはなりますが、お祝いの品ですし、印刷は確かにカチッとして綺麗ですが、手描きは手描きの良さで温かみも感じられ、これが年月とともに良い「あじ」となりますので、数千円(大きさによります)の違いであれば間違いなく手描きを選ばれますね。
これは秀月オリジナル お名前立札(木札)オルゴール付と同じで、手書き文字を印刷するのと、板に直接書くのとは全く異なり、手描き(手書き)の温かい美しさがありますから。



これらも全てお名前は、筆耕による手書きですので。
こうした事もAIや機械には真似できない、筆耕や職人の技です。
AIや機械が発達してきている現在、逆にこうした手描き(手書き)手づくりの良さが見直されてきていますので。
もちろん日本製のmade in japanが大前提です。
N様この度は、誠にありがとうございました。
どうぞこれからも末永くお飾りくださいね。
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人形師・甲冑師 十七代目 人形の秀月