こんにちは、人形の秀月 十七代目です。
神奈川県横浜市のK様より、お雛様の小道具のご相談を承りました。

(イメージです)
K様は夏頃メールにて「35年前ほど前に購入しました親王飾りの小物が破損してしまいました。買い換える事は可能でしょうか」というご相談をいただきました。
35年ほど前といいますと、まだ七段飾りが主流の頃で、お雛様自体も現在と比べ遥かに大きくなります。
お話しの流れで、おおよその大きさは分かりますが、お人形の大きさだけで関東風に言うと十種類近くで京風でいうと六種類近く。
そこに作家物となると、さらに着せ付けが異なり微妙な大きさの違いが出ます。
お顔に関しては、上の十種類近くにこれも作者やメーカにより微妙に異なりますので倍以上の数になり、極上物のお顔となると、それに相応しい小道具が必要となります。
小道具に関しては、上の十数種類に加え簡単に申し上げると、並・上・極上となりメーカーによっても使用が異なる事はあまりご存知ないかと思います。
さらに、小道具師と呼ばれる職人の作品となると、桁もひとつふたつ変わってきますので。
ですので、簡単に小道具を買い換えとなっても、元の物がどういうものであったかを知る必要があり、それさえ分からない場合は、別の方法で追いかけていく事となります。
ちなみに、よく「勺だけを買いたい」「扇だけを買いたい」「殿の冠の嬰だけを買いたい」というお客様からお問い合わせをいただきますが、親王飾りの小道具であれば勺・扇・太刀・殿の冠(嬰含む)これらがセットとなっており、それぞれの大きさに合わせ作られておりますので、単品(部品のみ)のご購入は難しいとお考え下さい。

(イメージです)
K様の場合、壊れてしまった現物と箱が残っていましたのでお写真をお送りいただき、それに合わせ揃えさせていただきました。
とはいっても現在のお雛様に比べ、遥かに大きなお雛様ですので、その小道具を揃えるのに少し苦労はしましたが、そのお陰で先方といろいろお話しする事もできて楽しかったですね。
楽ではありませんが、案外楽しんでいます。
大抵は面倒がられ断られる様なことでも、こうしてお役にも立つことが出来て、自分の勉強の再確認にもなるのですから。
K様この度は、誠にありがとうございました。
どうぞこれからも末長くお飾りくださいね。
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