こんにちは、人形の秀月 十七代目です。
連日のご来店ご成約、誠にありがとうございます。
神奈川県小田原市のK様より、35年前の三人官女と五人囃子の修理を承りました。

先ずこちらは五人囃子の一人で、烏帽子が取れてしまったのと左手(向かって右手)が外れてしまったのと、お顔の汚れです。
今では五人囃子も珍しくなり、なかなか見かける事が少なくなってしまいましたね。
そうした意味からも貴重な五人囃子ですが、こちらの子たちは烏帽子が接着されて、その接着が外れてしまったのですが、髪の毛まで巻き込んで外れてしまわず一安心です。
髪の毛までとなると、なかなかの修繕になってしまいますので。
この子の場合は髪の毛も綺麗な状態ですので、接着する事で完了でした。
左手ですが・・・スポッと外れてしまいます。

実は、」これは物によっては意味があって動くのですが、緩くなってしまっていたのできつくする事で解決です。
それにしても、五人囃子とはいえ良いお着物ですね。
着せ付けも綺麗ですし、昔はこうした仕事が当たり前でしたから、こういう仕事を知っているのと知らないのとでは、お店としても大違いで、専門店とうたうのであれば尚更です。
そして最も難しい三人官女ですが・・・

足が折れて真っ直ぐに伸びてしまっています。
この場合、袴を脱がせる訳にはいきませんし、中の状態はだいたい分かってはいますが、それが折れてしまってるとなると、通常の接着では効きませんので大手術となります。
もちろんお着物も脱がす事は出来ないですし、無理やり脱がしては破れてしまう恐れもありますし、足の部分を付け替える等という事は出来ませんから。
という事で、ある部品を用意し数か所縫い目を解いて、一部見えない部分を切って・・・
しかし直角に立たせるのは難しく、どうしても傾いてしまいますので、仮止めをしながら何回かに分けて、少しずつ修繕していきます。
製造に携わる方であれば、この状態で修繕する難しさがお分かりだと思いますし、99%近くのお店では断られてしまうでしょう。
だからこそ修繕する価値があるんです。
仮止めしては失敗し、部品を変えては失敗し、その繰り返しでした。
そしてやっと修繕完了したのがこちら。

袴の長さと折れ目は決まっていますので動かせませんから、またそれに合わせて修繕するというのがとても難しかったですね。
前足と引き足の間隔も合わせ、袴が突っ張らない様に弛まない様に。
そして立たせてみると・・・

見事に綺麗な立ち姿に戻りました。
垂直並行も問題なく、美しい立ち姿です。
ただ、次に同じ場所が折れてしまったら修繕は不可能になってしまいますが、ガッチリと修繕いたしましたので大丈夫でしょう。
それにしても、こちらの三人官女もとても綺麗なお着物です。
修繕しますので、お客様からは見えない部分まで手を入れていく訳ですが、その時に良い仕事がなされていると感動してしまうものです。
きちんと見えない部分にまで、丁寧な仕事がなされているんですね。
縫物も、それはそれは丁寧に縫われておりますので。
こうしたお雛様は昔のの七段の毛氈飾りですので、良い金襴で丁寧な仕事で綺麗なお顔でと、お人形に手間とお金を掛けられていたんです。
現在はどちらかというと見た目で屏風やお道具類に凝っているお飾りを多く見受けられますが、それはそれで良いかもしれませんけれど、だんだん本質と離れていってしまっている様にも思いますが。
私がよくお客様に対しても、こうしたブログにしても「主役はお人形ですよ」と説明させていただいておりますが、こうした目には見えない所から違いが出てきて、結果的に美しいお雛様、綺麗なお雛様、可愛らしいお雛様となり、可愛いお子様・お孫様のお守りとして末永くお飾り出来る様にもなりますから。
K様も含め皆さん35年前、40年前なかには60年前、100年前というお客様の修理を承りますが、生地や素材はともかく、ひとつひとつが丁寧な仕事をなされていて、それが経年とともに良い「あじ」となって残り、飾り継がれていきますので。
K様この度は、誠にありがとうございました。
どうぞこれからも末長くお飾りくださいね。
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