こんにちは、人形の秀月 十七代目です。
磐田市のM様より、特注 秀月オリジナルの兜飾りをお選びいただきました。

M様は、早々にご来店下さっており、弊社のブログやインスタグラムやご覧になられていた様で、「秀月さんの兜を・・・」と五月人形が出揃うのをお待ちになられておりました。
ありがたい事です。
せっかくお待ちになっていただいておりましたので、兜は私が制作した特注の兜で、兜櫃(かぶとびつ)の付いた櫃飾りとし、あえて飾り台は無しにして毛氈敷きにし、兜の雰囲気に合わせた重みのある弓太刀揃に男の子らしく力強い太枠の金屏風に、『宮内庁御用達漆器店制作 蒔絵 名前旗 端午の節句』で、品良く豪華に仕上げたお飾り。

兜は先日の記事で紹介しました『秀月オリジナルの兜制作中』で制作している合わせ鉢の大きく豪華になった兜鉢。
特徴的な吹返しには、秀月オリジナルの華やかな彫金牡丹を使用し、レザーを巻きその上から金糸と蛇腹糸で周りを巻き、さらに金の覆輪を巻いて豪華に仕上げてあります。
この彫金牡丹という金具ですが、とても貴重なもので、秀月オリジナルとなありますので他所では使用する事はできません。

「華を持たせた人生を・・・」という想いから使用する彫金牡丹。
さらに彫金牡丹の下の裾金具にも、牡丹金具を使用し、より豪華さと華を持たせてあります。
鍬形は大き目の中鍬形を使用し、鍬形の受け金具の中心には梅の花を。
この鍬形は真鍮製で純金鍍金が施され、あえてヘアーラインを入れ艶を抑えた仕様となっております。
忍緒は、結びを総角とし魔除けの意味も込めて赤を。
そして、袱紗は昔から最も高貴な色とされる紫(古代紫)を使用する事で、より品良く美しく兜がグッと映えます。
兜櫃は神代杉塗りで、神代杉おとは「神の時代から眠り続けていた」と言われるもので、数百〜数千年前の古代に火山灰や地中に埋もれ、腐敗せずに半化石化した杉の木のことをいいます。
土中の鉄分などと反応し、青黒や茶褐色に変色した渋い色調と、緻密な木目が特徴で天然の「埋もれ木」として極めて希少性が高く、高級な内装材や工芸品に用いられます。
私自身、本物の神代杉の柱はこれまで数本しか出会えた事がありませんが、それはそれはとても美しく神秘的な杉です。
そして櫃には足が付いています。
この足は「鎧であれば全身を護るもの。兜であれば頭を護るもの。そうした高貴で大切な物は直接地面に置いてはならない」という事から足が付いております。
これは神社等でも同じで、神具等を入れる箱にも見られます。

そして鎧や兜は、しまう時にはこの櫃の中に納まる様になっており、直接地面に置かない、湿気も上がってこない等、昔から理に叶った現代でいえば収納箱で、そうしたきちんと意味、いわれの有るものを外してしまうのはどうかと思うのですが、M様にもそのお話をさせていただくと大変喜ばれ櫃飾りにされました。
ただ便利だからとか、格好いいではなく、昔からあるものは必ず意味がありますので、しっかりとその意味をお客様にお伝えするのも私の務めであり、制作するのも私の務めであるとも思っておりますので。
ただ売るだけではなく、伝える事も大事な務めですから。
そして、男児らしさを出すために太めの木枠の金屏風を使用する事で、より存在感が増し金屏風が兜を神々しく引き立てます。
こうしてご覧いただくと、何よりも兜が引き立っているのがお分かりいただけると思います。
兜の創りや仕様、大きさや櫃の大きさや高さ、弓太刀揃の大きさや仕様、屏風の使用や高さ等、全てにおいてバランスを取り、M様の前で仕上げさせていただきました。
その工程をご覧になられ、それぞれ意味、いわれをお伝えし、「なぜここにこの部品を用いているか」等もお話しさせていただき、それを聞きながらご覧になられているM様ご夫婦も大変お喜びいただけました。
そして、「名前旗を・・・」とおっしゃられたのですが、こうしたお飾りには一般的に何処でも見かける名前旗は合いませんし、『秀月オリジナル お名前立札 オルゴール付』が合うのですが、M様は『宮内庁御用達漆器店制作 蒔絵 名前旗 端午の節句』を。

<サイズ>
幅17.5cm 高さ34cm 奥行20cm
お子さまのお名前を華やかに飾る「名前旗」に、きらりと光る金属粉でお名前を描く技法『蒔絵名入れ』を施しました。
こうして、ただでさえ特注の一点ものの兜ですが、さらに価値を付けるべく宮内庁御用達をいう価値を付けて。

お飾りを仕上げたのがショールームの机の上でしたので、『宮内庁御用達漆器店制作 蒔絵 名前旗 端午の節句』前にしか置けず押しが強くなってしまいましたが、実際には横に置いて「反対側には○○を」とアドバイスもさせていただき、より端午の節句らしいお飾りとなりました。
流行に左右される事無く、伝統的なお飾りの仕方ですが、実はこのお飾りの仕方は兜を映えさせ、間口や奥行をそれほど取らないので限られたスペースでも兜や弓太刀揃も大きくなり、お飾り自体が綺麗に決まり品良く豪華になります。
この時の毛氈の使い方もあるのですが、それは弊社でお選びいただいたお客様のみに、必要であればお伝えしておりますし、その他のお飾りの仕方やアイテムもアドバイスさせていただいておりますので。
こうして仕上がった特注 秀月オリジナルの兜飾りですが、「あそこに行かなければ手に入らない、相談する事ができない」等、こういう時代だからこそ必要な価値ですので、そうしたお飾りや価値をお求めの方にご案内させていただいております。
大切なお子様・お孫様ですので、何処ででも簡単に手に入るものよりも、そこでしか手に入らないものを私、十七代目がご案内させていただいておりますので。
鎧や兜、子供大将等はおもちゃではありませんので、「品(ひん)」と一種の「気高さ」が備わっていなければなりません。
私たちの感覚としては、神具や仏具に近いように思います。
※玩具とは「もてあそぶもの」という意味です。鎧や兜、子供大将等をもてあそぶことは、まずありません。どちらかと言えば、祝い、祈る対象です。
「可愛い」と「稚拙」はまったく違うもので、鎧や兜、子供大将等の役目・務めはお子様を生涯にわたって見守り、端午の節句(こどもの日)に飾られることですので、大人になっても鑑賞に堪えうるものでなければなりません。
M様この度は、特注 秀月オリジナルの兜飾りをお選びいただき誠にありがとうございました。
彫金牡丹の品良く華やかな兜が、可愛いお子様をしっかりとお護り(護守護)いたしますので。
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