こんにちは、人形の秀月 十七代目です。
今回は、男の子の破魔弓をお飾りする理由と時期について。

「破魔弓って、どうして飾るんですか?」と、羽子板同様に多くの方からご質問をいただきます。
破魔弓は、赤ちゃんが初めて迎えるお正月に向けて贈られるもの。
旧暦の12月から1月の間は、十二支による暦の上で「丑・寅」にあたり、いわゆる「鬼門(よくない結果がおこりやすい時)」の時期です。
破魔弓には、その時期を生命力の弱い赤ちゃんが無事に通過できるようにという願いが込められているのです。
破魔弓は、読んで字の如く、「弓で魔を破る」という意味がありますが、これと関わりが深いものに平安時代から伝わる「鳴弦(めいげん)の儀」というものがあります。
これは、弓の弦を強く弾き鳴らす事によって魔除け・邪気払いをするという大変意味深い儀式。
今日の皇室においても、お子様が誕生して七日目に「読書・鳴弦の儀」が行われていますね。

弓を用いた儀式としては、この他にも正月にその年の年占いと厄除けの為に行った「弓射(ゆみいり)」や家を造る際の上棟式に、屋根の上に弓と矢を北東に向けて飾る「鬼門除け」などがありますね。
他にも相撲の弓取り式は、勝者の喜びを表現する儀礼で、勝者による舞を意味します。
弓取り式は、結びの一番で勝った力士が弓を受け取り、土俵上で左右に縦横に振り回し、勇壮に〈しこ〉を踏むことで行われ、かつては横綱自身が弓取り式を行っていましたが、現在は同部屋の力士が代役を務めるのが慣例となり、弓取りの力士は大銀杏を結い、化粧まわしを着けて土俵に上がります。
このように、縁起物として伝えられてきた弓と矢を組み合わせたものが、現代の「破魔弓」の基になっているものとなります。
そして、多くの方にご質問される破魔弓をお飾りする時期ですが・・・
『新暦の現代では、12月中旬から1月15日位までお飾りするのが一般的となっております』
羽子板飾りと同じですね。
昨今では、コンパクトでありながらも上質な破魔弓飾りも増えております。
弓は本格的な竹弓であったり。

檜造りであったり。

伝統的な要素を残しつつ、上質さとお洒落さをプラスしながら、玩具にはならない様にと。
破魔弓も御守りですから。
十七代目 人形の秀月は、大切なお子様・お孫様の健やかなご成長を願い、流行に左右されない厳選された羽子板飾りを取り揃え、皆様のお越しを心よりお待ち申し上げます。
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江戸時代初期から創業400年
人形師・甲冑師 十七代目 人形の秀月
