こんにちは、人形の秀月 十七代目です。
掛川市のM様より、愛知県豊田市にお住いの可愛いお孫さんへと、真多呂作 木目込み人形 桃花雛ケース入りをお選びいただきました。

間口:52cm 奥行:32cm 高さ:31cm
M様は5年前にも秀月袋井店にてお雛様をお選びいただいており、この度「下の子が生まれたので」と愛知県豊田市にお住まいのお嬢様のU様と一緒にご来店くださいました。
本当にありがたい事です。
つくづく秀月は、こうした方々に支えられている事を実感いたします。
「下の子にも、小さくてもお雛様を揃えてあげたいので・・・」という優しいお気持ちのU様。
全く同じ衣装着のお雛様ですと、お子様が大きくなってから「なんで私のは小さいの?」と思われたり質問されたりしますので、同じお雛様も全く系統の異なるお雛様をおススメいたしております。
例えば、上のお子さんが衣装着だったら下のお子さんは木目込み人形といった様に。
さらには、上の子が親王飾りであれば下の子には居稚児(いちご)さんであったり、三人官女であっあたり、お道具類であったりと、様々な例がございますので、お気軽にご相談いただければと思います。
さて、M様が選ばれたのは真多呂作 木目込み人形 桃花雛ガラスケース入りですが、現在では大変珍しいガラスケース入り。
こちらのガラスケース自体も特殊でして、柱が無く前面のガラスが斜めになっいております。
美しい木目調に全面が斜めになっているという特徴的なガラスは、正面からご覧いただいた時に、ご自身や蛍光灯等の映り込みが無い様にとの工夫で、光の反射が気にならない様にし、前面に柱が無いのでどの角度からも人形がご覧いただけ、埃がつきにくくなっているもの特徴のひとつ。
現在主流になりつつあるアクリルケースは、軽くて割れにくいというメリットがありますが、デメリットとしては埃が付いてこすると静電気を帯び、さらに埃を呼んでしまう事と、拭く事でヘアーラインという細かな傷が付いてしまう等といったことがありますので、「軽いですよ・割れないですよ」等といってメリットだけを伝え買わせようとするお店は見るだけ見てスルーされる方が賢明です。
こちらのガラスケースは四面全てがガラスで、特に正面の様に柱を使わずガラスを組み合わせ立てるというのは、ガラスの厚みと質・技術も必要になりますので、そうしたことからも良いお人形jには良いガラスケースといった様に、だけでもそれなりの金額となる訳です。
写真では、分かりやすい様にとあえて角度を付けて撮影しておりますので映り込みがありますが、正面から同じ高さでご覧いただくとお分かりいただけますので。
お顔は、真多呂さんらしい子供顔の可愛らしくも上品なお顔立ち。

目は「書き目」や「笹目」とも言われる伝統的な技法で、面相筆で一本一本線を引いて創り上げる目で、これも職人さんにより表情があるんです。
最近では「入り目」といって目が入った木目込み人形のお顔が多いですが、木目込み人形をご存知の方は間違いなくこの「書き目」「笹目」と呼ばれるお顔を選ばれます。

姫も同じ様に。

可愛らしくも綺麗なお顔立ちで、どこか凛とした美しさもありあります。
可愛らしくても幼くはならないので、ずっとお飾りできる木目込み人形ですね。

お顔立ちお化粧もそうですが、結髪も美しいのも特徴ですね。
見れば見るほどに、吸い込まれるような美しさがあります。
そして、こちらのお雛様には三人官女が付きます、

同じ様に子供顔で、春の訪れを告げるかの様な優しく華やかな衣裳。

こうして撮影しても分かりますが、奥行があり人形の世界観をご覧いただけるのもすごく楽しいですね。

そして、さりげなく作札に貼られている「伝統的工芸品」のマーク。

こちらは、通産大臣指定、伝統的工芸品の「伝産マーク」。
人形のボディに使われる素材や加工は全て伝統技法に忠実。経済産業省制定の「伝産法」を満たし、伝統的工芸品として認定されています。
人形の原型は全て伝統工芸士・金林真多呂の手によって作り上げられています。素材は国産のものにこだわり、熟練した専門職人たちが作業を分担し、ほとんど手作業で人形を作り上げていきます。
ボディには天然の桐素材を使用。ウレタンなどの化学素材は一切入っていません。ボディが木のため、型崩れや衣ずれしにくく、何年も美しい状態でお飾りいただけます。
270年間受け継がれ、磨き上げられてきた確かな品質。眺めれば眺めるほど味わい深い雛人形が、お子様の成長を見守ります。
といった様に、同じ木目込み人形でもこのマークがあるのとないのとでは大きな違いがあり、もちろんグレードも上がります。
当工房でも代々続いている言葉で「職人であれば口よりも作品で知らしめよ」という言葉がありますが、正にその通りかと。
いまからおよそ280年前の江戸元文年間に、京都の上賀茂神社に仕えていた高橋忠重が作った人形が「木目込み人形」の始まりとされています。
現在の木目込み人形は、明治以降様々な変化を経て発展しました。
東京の人形師・吉野栄吉が京都から木目込みの技術を持ち帰り、これに改良を加え、現代木目込み人形の基礎を築き初代金林真多呂は栄吉の息子の喜代治に師事、新たに創意工夫を加えて、独自の雅やかな真多呂人形を完成させました。
そうした事から、上賀茂神社から木目込み人形の正統伝承者として認定を受けているのは実は真多呂だけというのはあまり知られていないかもしれませんね。
こうした事を含め「価格の違いは品質の違い」と思っていただければと思います。
M様U様、この度も誠にありがとうございました。
車の話しでも大いに盛り上がりましたので、また是非お立ち寄り下さいね。
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