こんにちは、人形の秀月 十七代目です。
美しい皮に赤漆の菱菊。

写真の印伝は、赤漆が潰れてしまっていたり汚れたりしていて使えないので、自分用の敷物として使用しておりますが、冷静に考えたらとても贅沢ですね。
菱菊の模様は、菊を浸した水「菊水」を飲むと長寿を保つという中国の故事から不老長寿の象徴となる吉祥模様で、菱菊は菊の花びらを菱形に図案化したもの。
こいうして、昔からの模様等にはそれぞれの意味があります。
その意味を生かしながら、素材を生かし適材適所で使用していく訳ですが、良い素材はやはり手にした瞬間に馴染みも良いものですね。
時折、印伝のお財布を持たれている方がいらっしゃいますが、それはもうとても美しくて。
思わず目を引きますが、赤漆にしても黒漆にしても、やはり違うんですね。
日本独特の美しさというか、年月が経つほど光沢と風合いが増してきて、綺麗というよりも美しくなります。
これも400年の歴史を持つ、印伝という素材自体が生きているという証ですね。
日本の伝統美というものは、年月が経つほど深みが出てくるもので、こちらの赤漆ものそうですが、日本古来の色(伝統色)は、優しくもありどこか媚びない美しさがあります。
洋風の色が多い中で、目立ちはしないけれど、よく見ると奥深く美しい。
これが日本特有の「わびさび」の世界のひとつです。
よく言うのですが赤とredは違うし、黒とblackは違うし、青とblueは違うんですね。
さて、工房で色違いの印伝を使用し、アレを創ってみようと悪戯(いたずら)をしております。
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伝えたい日本の心 美しい伝統
江戸時代初期から創業400年
人形師・甲冑師 十七代目 人形の秀月