兵庫県神戸市のM様は陣屋提灯の修理

こんにちは、人形の秀月 十七代目です。

兵庫県神戸市のM様より、陣屋提灯の修理を承りました。

M様は、ホームページ内の人形の修理・リメイクをご覧になりお問い合わせいただきました。

「40年近く前に祖父母が私の初節句に購入してくれた兜セットと聞いています。後ろの提燈の部分に負担が掛かってしまい、提燈が破れてしまいました。家紋の入った提燈なのですが、修繕等する事は可能でしょうか?」

ということでお問い合わせをいただき、現物をお送りいただきました。

するとご覧の様に破れてしまっている事と、小さな穴も幾つか開いてしまっています。

小さな穴は年数が経つと、畳んで箱に入れてありますので開くときに紙が固くなっていて、どうしても破れた様に穴が開いてしますのですが、仕方の無い事でもあります。

開きっぱなしで保存という訳にもいきませんので、どうしても負担が掛かってしまうんですね。

良かったのは、周りの金具類は無くされていなかった事です。

出来るだけ修繕費の掛からない様にと考えておりますので、房や金具類は可能な限り使用し、上下の黒い口輪が使用できる場合は、使用する様にしております。

そうすると火袋のみの修理となりますが、基本的に火袋を新たに作り直す事となります。

ですので、片方だけですと片方だけが真っ白で綺麗になって、片方は年代物で少し茶色ががってとなりますので、基本的に皆さん対で修繕されますね。

この時にメール等で「だいたい幾ら位でしょうか」と聞いてくる方もらっしゃいますが、ホームページの記載してありますが、火袋というと「〇寸」といって大きさの種類がありますし、どこまで部品が使えるかにもよりますので、一度お預かりし拝見させていただかない限り、メール等で概算の金額等をお知らせする事はできませんのでご了承下さい。

そして提灯もそうですが、全て職人がひとつひとつ手作業で作り上げていきますので、お時間は掛かりますが、仕上げは美しくなります。

この紙にも、ちょっとしたこだわりがあったりも。

そして、修繕が完了した陣屋提灯がこちら。

中に保護の紙が入れてありますので、完全に広げる事はいたしませんが、美しい仕上がりがお分かりいただけると思います。

M様の場合、ご家紋は印刷でという事でしたので印刷にさせていただきましたが、こちらもほとんどのお客様は手書きをご希望されます。

よくお客様は間違われますが、火袋は真ん丸じゃないんです。

そして、紙を一枚一枚張り合わせていく訳ですから、とても素人には出来ない仕事ですね。

飾金具や房等はそのまま使用しましたので、修繕費用も抑える事ができました。

こう書くと「金具は今の物を使ってください」と言ってくるお客様もいらっしゃいますが、使えるか使えないかの判断は、私どもにお任せいただきます。

そしてM様の元へお送りすると「陣屋提灯届きました!立派に生き返らせてくださり、ありがとうございます」とご丁寧にお礼のメールが届きました。

嬉しいですね。

職人さんて、この一言が励みになるんです。

そして、それが職人の粋様(生き様)で、自分の腕と経験を頼りに手仕事で修繕していく訳で、自分で創り上げた物であれば良いですが、他人が創った物を修繕するのはその職人さんのやり方や癖もありますので、とても大変なんですね。

それをあえて挑戦し、さらに腕を上げていく訳です。

少なくはなりつつありますが、それが日本が世界に誇る職人で、AIや機械には負けてません。

M様この度は、誠にありがとうございました。

どうぞこれからも末永くお飾りくださいね。

人形の修理・リメイクにつきましては、こちらよりご覧ください。

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伝えたい日本の心 美しい伝統
人形師・甲冑師 十七代目 人形の秀月

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