こんにちは、人形の秀月 十七代目です。
今日はおついたち詣りで周智郡森町一宮の小國神社へ。

昨夜の嵐の様な天気から曇り空でしたが、多くの参拝者で賑わっていました。
この時期は七五三詣りの方もいらっしゃり、一気に華やかになりますね。
男の子は小さいながらも凛々しく、時には元気に袴を振り乱して走り回るやんちゃな子もいますが、それはそれで楽しいものです。
なかには緊張しているのか、キリっと堂々としている子もいて「この子は将来大物だな」と思わせたり。
女の子は可愛らしく、七歳にもなれば綺麗になり、女の子でもお着物を振り乱しながら走り回る子もいて、それも楽しいものです。
女の子にとっては初めてのおめかしでもあり、お着物を着て親御さんに手を引かれ歩く姿は可愛らしいですね。
初宮詣りの方もいらっしゃり、産着・祝着(のしめ)を着せている方も多くお見掛けしました。
産着・祝儀(のしめ)とはお宮参詣りの際に赤ちゃんが初めて身につける伝統的な正装で、健やかな成長を願うお守りの意味が込められており、とても華やかな衣裳です。
祝着(のしめ)は「熨斗目」とも書き、「多くの人からの祝福や幸せを分かち合う」という意味を持ち、その柄には健やかな成長を願う意味が込められています。

男の子
鷹:鷹のように「先を見通す力が持てるように」や鋭い爪で「幸運をしっかりとつかめるように」
龍:龍が天に昇る姿から「出世するように」「大成するように」
鯉:鯉(こい)が滝を登る姿は、立身出世の象徴です。「登竜門」という中国の故事では、激流を登り切った鯉が竜になる話があります。鯉が滝を登って竜になれるように、赤ちゃんが苦難を乗り越えて飛躍・出世することを願う意味があります。
宝船・宝船(たからぶね):七福神が乗っている船のことで、その名前の通りたくさんのお宝や米俵が乗っている船であるため「一生食事や生活に困ることがないように」
兜:兜(かぶと)は、こどもの日に飾る五月人形にも用いられ「病気や災厄から守られるように」という魔よけの意味があり、武士の象徴ともいえる兜(かぶと)は、武家社会の時代から出世や大成の願いも込められるようになったモチーフです。
軍配:かつての戦国武将が自軍を率いるために用いていた道具です。戦国武将は、軍のリーダーとして先頭に立ち、戦略を立てて軍を適切に配置していました。軍配の柄には、戦国武将のように人をまとめ、指示できるような行動力と決断力にあふれた子に育ってほしいとの願いが込められています。
巴太鼓:巴太鼓とは、3つの水滴が渦のように回る形が描かれた太鼓のことで、太鼓が「よく鳴る」と物事が「よく成る」をかけていることで縁起がよいとされ、また、和太鼓は古くから出生祝いとして重宝されていた贈り物です。

女の子
鞠:鞠は、その形から「全てが丸く収まるように」「豊かに成長するように」との願いが込められており、鞠は長い糸を使って作られることから「よい人に出会えるように」と良縁祈願にもよく用いられています。
御所車・花車:平安時代の貴族の乗り物で、貴族を表現するモチーフとして使われ、「玉のこしに乗るように」との願いが込められています。
桜:日本で愛され続けている桜の柄は、春の訪れを告げるイメージが強いことから繁栄や豊かさを象徴しており、「幸せになれるように」との願いが込められています。また、始まりの意味もあるため「人生の門出を祝う」お宮参りにもふさわしいですね。
牡丹・芍薬(しゃくやく):牡丹や芍薬の花は、とても華やかな花であることから「美しく気品のある女性に育つように」との願いが込められています。
椿:日本原産の樹木で、平安時代には不老長寿の薬として大切にされてきた他、高貴な紫色を染める媒染剤として重宝されてきました。そのことから、高貴で神聖な花として人気があります。
また、椿の花は寒さが厳しい冬でも美しく咲き誇るため、忍耐力や生命力の象徴である上、邪気を寄せ付けない吉祥木でもあり、椿柄には厄からお子さまを守り、お子さまが強く成長してほしいとの願いが込められています。
菊:秋に咲く代表的な花で、縁起がよい吉祥文様のひとつで、不老長寿や無病息災、厄よけなどの意味が込められています。放射線状に整った花びらを持つ菊は、格式の高い振袖や留袖などの柄にも描かれる豪華な花です。
兎:月の使いといわれる兎(うさぎ)は「ツキを呼んでくれるように」と縁起を担ぐために用いられる柄です。飛び跳ねる姿から「つまずくことなくトントン拍子に物事が進むように」との願いも込められています。
卯(うさぎ)年の女の子の場合、縁起をさらに担ぐため、特に好んで選ばれる柄です。
鶴:長寿や豊かさを象徴する鳥です。お祝い事に用いる吉祥文様でも人気で、結婚式の衣装や打掛(うちかけ)などにも用いられています。そのため、長寿だけではなく、お子さまが良縁に恵まれ夫婦円満で過ごせますようにとの願いも込められています。男の子の産着にも使用される柄で、女の子の産着では折り鶴を用いることが多いのが特徴です。
蝶:蝶は、姿を変えながら美しく成長していく生き物です。生態を変えて変身していく様が不死の象徴といわれています。また、生涯パートナーを変えないことから、夫婦円満の象徴として結婚式の衣装にも用いられています。
鈴:鈴は、魔物を追い払って縁起のよいものを引き寄せるために使う道具で、鈴の音色は、邪気を払う厄よけにもなります。
共通して用いられる柄としては・・・
束ね熨斗:束ね熨斗とは、お祝い事の際に用いる熨斗を何本か束ねたものを指します。多くの熨斗を束ねることで多くの祝福を得られることや、周囲の人たちと幸せを分かち合ってほしいとの願いが込められています。人からの贈り物のため、人とのきずなやつながりを表現するともいわれ、熨斗の長さは長寿の象徴にもなっています。
亀甲:亀甲とは、正六角形をいくつかつなげた文様で亀の甲羅のような柄であることから、亀甲と呼ばれています。吉兆と長寿の意味がある他、縁結びで有名な出雲大社の神紋でもあることから良縁を結ぶ柄ともされています。
松竹梅:古くから日本の慶事・吉祥の文様として縁起がよいと使われてきたもので、松と竹は、真冬の寒さでも色を変えることなく成長し続けます。梅も、寒さに負けずに冬を耐え抜き、春一番に美しい花を咲かせる植物です。これらの生態から、忍耐・清廉潔白・節操・美などを象徴するといわれています。
上記の様な意味を持ち、雛人形や五月人形等にも共通している事がお分かりいただけるかと思いますが、単に綺麗だからとか可愛いからではなく、きちんとした意味が込められている為に流行廃りもなく続いている訳ですね。
ちょっとした豆知識をご案内させていただきました。
もちろん洋服でお宮参りをされる方もいらっしゃいましたので、どちらでも大丈夫ですが大切な事はそこに込められた気持ちですので。
そして、いつもの様にお礼を述べいつもの様にお神籤を。
今月の教え
「自分の我儘な心に克(か)てなければ心の自由はあり得ない」
*産着につきましては、着物屋さん等で詳しくお聞きになられる事をおススメいたします。
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江戸時代初期から創業400年
人形師・甲冑師 十七代目 人形の秀月
