こんにちは、人形の秀月 十七代目です。
浜松市中央区のN様より、秀月オリジナル豪華な三段飾りの高級お雛様をお選びいただきました。

N様は最初、若夫婦でご来店されこちらのお雛様を大変お気に召され、一点ものという事もあり、翌日ご両親を連れてご来店されお選びくださいました。
お選びいただいたお飾りは、間口90cmの三段飾りのお雛様で、あえて毛氈飾りとし、木製の段飾りとは異なる上品さで、木製の段を使用しない分お雛様を高級にし、バランスの取れたお飾りへと仕上げられております。
三段飾りというと、現在では間口が約50cm程といった具合にコンパクト化されてしまっているお飾りが多いですが、こちらのお飾りは昔から変わらぬ90cmで、お人形も大きなお人形となり、三人官女まで揃いますので見応えのあるお飾りとなります。

お着物は、高級金襴を使用した金重ねとなっており、見るからに豪華な仕上げで見栄えもする美しく豪華なお雛様。
かといってギラギラとした押しの強いものではなく、落ち着いた上品な仕上がりになっているのもポイントですね。

この子たちを、より美しく豪華に魅せるには通常の赤い毛氈ではなく、厚手の毛氈で色はエンジを使用するのも私流です。
確かに赤い毛氈も綺麗ですが、深みのある落ち着いたエンジを使用する事で、金重ねのお着物がより一層豪華に引き立ち、高級感もグンと上がってきますので。
もちろん、全てのお雛様が同じという事ではなく、それぞれのお着物や雰囲気に合わせ毛氈の厚さや色も使い分けます。
殿と姫は畳を使用した親王台に座る訳ですが、この親王台はあまりお客様も注視される事も少ないのですが、私自身がお飾りのコンセプトに合わせ大きさ(広さ)も調整してある事はあまり知られておりませんが、この親王台の使い方でお人形の美しさや豪華さ、上品さも変わってきますので、こうした何気ないところにもきちんと手を入れバランスを整えてありますので。
柄はもちろん繧繝模様(うんげんもよう)で、これは昔からですが身分の高い人のみに許されていた大変縁起の良い模様で、近頃ではスタイリッシュなお雛様もありますので、これもお飾りによって使い分けていきますが、やはり意味のあるお雛様の王道ですね。

三人官女も同じく高級金襴を使用した金重ねで、五人揃うと絢爛豪華という言葉が合う立派なお飾りとなります。
お顔も、殿と姫は若々しくも少しキリっとした表情でいかにも殿と姫という風格を持たせてありますが、三人官女は少し丸みも持たせ優しい表情で、皇后陛下のお世話する役目を担う三人の女性として、そういう雰囲気になる様にと仕上げられております。
三人官女は、皇后陛下のそばに仕えることを許された官女の中でも位の高い女性たちであり、皇后陛下にとっては、ときに親や姉のように支えてくれたかけがえのない頼れる存在、という事は今ではあまりしられていないかもしれませんね。
そして殿と姫を引き立てる屏風は、三曲屏風を使用し金彩のしだれ桜に可愛らしい花紋が入り、優しく落ち着いた雰囲気を醸し出しながらも可愛らしく、二人よりも目立つことは無く、二人を一層引き立てます。
そして、三人官女は背景がエンジになりますので、お着物が引き立ち三人官女でありながらも美しく豪華に映える様になっておりますので。
背景が毛氈ですので、布の表情でより優しい感じにもなります。
実は、こういう事も計算しお飾りは仕上げてありますので。
灯りは雪洞を使用し、絵柄は紅梅で雅やかに優しく二人を照らします。
お花は、昔ながらの井垣の付いた桜橘で、これも京都御所を再現しており、大きさを調整しながら同じ井垣でも土台の色を変え、違和感の無い様にと仕上げられております。
お道具は決まりの6点ですが、通常の塗りではなく、少し赤みの入った高級溜塗ですので、これだけでもお飾りのグレードがグッと上がりますね。
大変多くのお客様がお気に召されていたお飾りで、大きさ金額に関係なく間違いなく毎年完売となるお飾りですが、お道具云々、載せ替え云々といった小細工をせずとも、基本であるお人形がしっかりとしており、お飾り自体のバランスがきちんと取られ意味があれば、木製の段や毛氈、古風現代風関係なくお選びいただけるものです。
五月人形も含め、良いお飾りというのはそういうものですから。
ご両親のM様、若夫婦のN様、この度は誠にありがとうございました。
豪華な三段飾りで、皆さんで楽しく初節句をお祝い下さいね。
余談ですが、若旦那様はとてもお洒落でスタイルがあり、そういうお洒落関係のお仕事かと思ってしまいました。。。
ご実家のM様は浜松市中央区西山町にあるカネタの銘茶 有限会社 村松商店様で、夏はイベントがあったりお店ではお茶やお茶菓子もいただけるそうですので、今度伺わせていただこうと思います。
若夫婦は同じ浜松市中央区西山町でパン屋さんramu_pan様で、現在産休中という事ですが、美味しそうなので再開されたらぜひ伺ってみます。
みなさまもどうぞ。
十七代目 人形の秀月は皆様のお越しを心よりお待ち申し上げます。
伝えたい日本の心 美しい伝統
人形師 甲冑師 十七代目 人形の秀月