こんにちは、人形の秀月 十七代目です。
愛知県岡崎市のH様より、34年前に母が制作した秀月オリジナルの市松人形の髪の毛の修繕を承りました。

H様はブログをご覧になり、ブログ経由でのお問い合わせです。
「34年前にお祝いでいただいたものですが、秀月さんのものだと思います。十六代目秀月と書いてあります」という事でさっそくお写真をお送りいただくと、確かに弊社で母がお創りした市松人形です。
このお顔を見ただけで「うちの子だ」と分かりますが、当時から市松人形で「秀月のお顔」としても大変ご好評いただいているとても良いお顔です。
場所を変えて、あえて分かりやす様に明るめに撮影してみました。

こちらは男の子市松人形ですが、髪の毛にクセも付いて完全に乱れてしまってお、こうなってしまうと普通ではなかなか元には戻りません。
そして女の子の方はというと・・・

さらに酷い状態で、髪の毛が一部外れてしまいハゲてしまっています。
こうなると、一部的な修繕ではなく、髪の毛全体をふきなおす事となります。
それにしても、両方とも髪の毛は乱れてしまっていますが、お顔自体にシミなどがひとつも無いというのも創りの良さの証です。
ちなみに女の子市松人形ですが、絞りのお着物のお袖にお子様の誕生月のお花が刺繍されており、当時から秀月だけのオリジナルとしてご好評いただいておりました。

こちらは桜ですね。
選びいただく時に誕生月のお花をお選びいただけるので、大変喜ばれ大切にお飾りされていました。
現在でも大切にお飾りされているお客様を拝見しますが、現在ではその刺繍も出来なくなってしまい、大変貴重な市松人形となっております。
そして、男の子と女の子の一対というも懐かしいですね。
昔はこうして一対でお飾りされたものです。
そして髪の毛の修繕が完了した子がこちら。

髪の毛も綺麗に元通りとなり、綺麗な表情が戻ってきました。

とても美しい表情で、お顔もふっくらと幸多きお顔で。
胸元に見える筥迫も、既製品ではなく当工房での手作りです。

男の子も綺麗な表情に戻り、髷も綺麗になりました。

現在ではこうした「おかっぱ」の市松人形を見る事も少なくなってしまいましたが、改めてこうして見ると良いお顔だなと思います。
現代風の髪型のお顔ももちろん可愛いですが、同じ可愛いもでも「違う可愛らしさ」といいましょうか、何と表現したら良いか難しいのですが、私たちの様なプロが見て良いお顔というお顔ですね。
こうしたお顔も基本は同じですが、年月を経て少しずつ変化はしていきます。
それが正しい変化であれば、美しいままの良いお顔のまま現代風になっていくのですが、そうでないと時代の変化を飛び越えて、現代というよりも未来?の様なお顔になったり、基礎が無ければ単なる幼稚なお顔にもなってしまいます。
赤ちゃんから子供になり、子供から大人になっていく様な自然の変化が、途中で整形してしまって全く異なる顔になってしまう様な。。。
この時は「お顔が自由に選べます」等というものはありませんでしたらか、ひとつのお顔を選び抜いて、もしくは型を起こして、いかに良く魅せていくかと作り手(販売店)が努力したもので、秀月では今でもそれが当たり前ですのでブレる事がありません。
こちらの男の子のお着物も、襟の作りから合わせ、お着物の柄もそうですが仕立ての良さ、着せ付けの良さも分かりますね。
この子を修繕し終わった時、母が「せっかくだからお着物も少しお直しが出来るところをやってあげる」と言って、何やらゴソゴソとしていました。
こうして製造元は、自分が制作したお人形等に愛着があるんです。
そして最後にもう一度髪の毛を綺麗にして、H様の元へと納めさせていただきました。
H様この度は、誠にありがとうございました。
貴重な市松人形ですので、どうぞこれからも末長くお飾りくださいね。
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