こんにちは、人形の秀月 十七代目です。
神奈川県相模原市のN様より、34年前の随身と三人官女のお顔のシミの修繕を承りました。

現在では珍しくなりつつある随身で、こちらは向かって右側に立つ左大臣のおじいさん。
最近のお飾りでは、まず見かけなくなってしまいましたね。

十五人揃いに属し、宮廷を警護する儀仗姿の武官で、大事な方です。
お顔の周りを中心にシミが出来てしまっていますね。

髪の毛の生え際や、眉毛周り、髭周りといい、なかなか難儀な修繕となりそうです。
そして・・・

こちらはもう片方の随身で、向かって左側に立つ右大臣の若者。
宮廷を警護する武官なので、厳しお顔をされていますね。

こちらは、耳周りや首元にシミが発生しています。

こちらは、髪の毛の生え際や耳たぶに。
さらに・・・

三人官女のこの子には、全体的に黒点(シミ)が・・・
これだけ広範囲に広がっいてしまうのも、逆に難しくなってしまうものです。
これは修繕を承る前に必ず申し上げているのですが、場所によっては眉毛を消してしまったりまつ毛を消してしまったりする為、次に描くにあたって全て職人の手描きですので、全く同じ様には描けません。
その場合、場合によっては若干表情が変わって見える様になってしまうかもしれませんが、修繕を優先されるかそのままを優先されるかで、全てが機械で作られている様な安価な量産品であれば別ですが、同じ職人さんであっても人間ですから、当時の職人さんと筆遣いも異なりますので。
そして修繕が完了したお顔がこちら。

お年寄りだからシミが出来るとは言わせない様に、綺麗になりました。
血色も良くなり若返った様な。。。

なんだか清々しい表情をされていますね。

こちらは、少し優し気な表情に。
もしくは年の功で何か悟りを開いた表情にも。。。

右大臣は、よりキリッとして変質者を寄せ付けない様な厳しい表情に戻りました。

とはいえ、凛々しいお顔ですね。

首が太く、少し顎を上げた状態で目が険しく吊り上がってしますので、より厳しさが増しますね。
昔の十五人揃いのお雛様ではありますが、本当に表情豊かで良いなと思います。
十五人それぞれが個性豊かな顔をしていて、情緒豊かにもなる訳ですね。

そして三人官女も宮廷の女官らしく、品の有るお顔立ちと表情に戻りました。

やはり女性ですから、シミ等が無くなると嬉しいんですね。

優しく綺麗なお顔立ちですね。
現在では、誰かが「良いお顔」というと「右に倣え」で、どこもかしこも同じお顔で、バランスも何も関係なく同じお顔を使い、その店のカラーも何もありません。
ネットでは直ぐに拡散されますので、何が良くて良いお顔なのかさえも分からない状態でひとり歩きしていき、それをご覧になったお客様は「これが良いお顔だんだ」と思い込んでしまい、売る側もほとんどが「本当の良いお顔」というのが分からなくなってきてしまっている様にも思います。
周りが良いお顔と言うから使用するのではなく、自分が良いと思っているお顔があって、そのお顔を胴体(衣裳)とのバランスやお化粧等で良いお顔に育て上げるのが我々老舗専門店の仕事ですからブレないんです。
そのお顔には意味がありますから。
こうして修繕の完了したN様の随身と三人官女ですが、無事に納めさせていただく事ができました。
N様この度は誠にありがとうございました。
どうぞこれからも末永くお飾りくださいね。
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