宮城県仙台市のW様はお雛様の首折れの修理とお礼のメール

こんにちは、人形の秀月 十七代目です。

宮城県仙台市のW様より、お雛様の首折れの修理を承りました。

W様は弊社のホームページをご覧になり、お問合せいただいたのが始まりです。

『お雛様の首が折れてしまいました。

東日本大震災のときなので、14年前になります。仕事が休みの日に片付けようと思いそのまま飾っていたところ震災にあいました。当時、保育園児だった娘は頭が転がったお雛様を見て悲鳴をあげました。落ち着いてから、修理の依頼をしましたが「うちでは修理できません」と数軒から断られました。子供たちはお雛様が震災から守ってくれたのだからそのままでいいと言いますが、やはり元のようにならないものかと毎年思いながら飾っていたところ、先日、偶然にもこちらのサイトを拝見しご連絡した次第です。

長文失礼いたしました。よろしくお願いいたします』

という事で、ちょうどその年は袋井市に台風が直撃し、当時弊社の5階建てのビル(高さは8階建てビルと同じ)は、周りに他に高い建物はありませんので、大打撃を受けました。

5階の銅板の屋根はめくれ上がり飛ばされ、ネオンサインは全損し、中に雨水が入り滝の様な状態で品物は駄目になり、さらに壁にヒビが入りと。

修理をしたくても保険屋さんやら足場屋さん全てが東北最優先でしたので、屋根が空いたままの状態で修理したくても出来ず、悲惨な状態だったことをよく覚えております。

という事で、さっそくお人形をお送りいただくと、写真の様にお顔が仮止めされている状態でした。

そっと抜いてみるとみると、根元から首串が折れてしまっております。

お顔に傷が付かなかったのは不幸中の幸いで、見たところ首串の修繕だけで済みそうでした。

お顔は石膏で出来ていますので、折れた首串を綺麗に取り除き、新しい首串を差す様になります。

この時も綺麗に取り外さなければ、もしかすると見えない部分で石膏にヒビが入っていて、何かの拍子にお顔が割れてしまうかもしれませんので、慎重な作業となります。

首串が曲がっていれば、胴体に差した時に曲がってしまいますし、細すぎてもユルユルになってしまいますし、短すぎても駄目ですし、長すぎては切らなくてはなりません。

ここで豆知識ですが、お人形の胴の中は(特にお顔を差す部分)は藁が縦に束ねられて作られています。

そこを「お顔を自由に選べます」からと、似合うかどうか差したり抜いたりを繰り返せば繰り返すほど、藁が緩くなりお顔を差してもグラグラになってしまいます。

先日も修理のお客様であったのですが、そのユルユルを無くす為に接着剤で固定されていました。

これは、専門店ならば知っている当たり前のNG行為で、ガラスケース入りのお雛様であればともかく、お顔の修理も出来なくなってしまうので、「お顔を自由に選べます」と抜いたり差したりす行為自体も本来の専門店であればまずしない行為ですから。

さて、修繕も無事に終了した首串がこちら。

何寸かお顔の中に、真っ直ぐしっかりと差し込み固定してありますので大丈夫です、

正面からご覧いただいても真っ直ぐに。

通常であれば、首串を差した状態からお化粧を施したり、結髪をしたりするのですが、既にお化粧も施されているので、傷や汚れを付けない様にと神経を使います。

そして、綺麗な優しい表情にも戻りました。

この子も綺麗なお顔ですね。

幼過ぎず、凛とした綺麗なお顔立ちで、表情がありますね。

きっとこの子が震災の時にお子様を守ってくれたのでしょう。

お雛様はその子の「お護り」ですので、そうした役目を担っておりますから。

ここでW様のメールの中に書かれている「娘は頭が転がったお雛様を見て悲鳴をあげました」と書ありますが、店内に「お顔を選べます」とお顔のみが無造作に置かれているお店があるという話しを他のお客様からも聞くのですが・・・その様な状態のお顔をお子様がご覧になれば、普通は悲鳴をあげるでしょう。

しかし、売りたいが為に良いサービスが如く、当たり前の光景にしてしまっているのはいかがなものかと思います。

その瞬間に、お子様の夢も何もかも壊してしまい、ただの物としてしか扱っていないのですから、その様なデリカシーの無い売り方は私にはとてもできません。

こうしてW様のお雛様も無事に修繕も終わり、W様の元へと帰っていきました。

そして、W様よりメールが届きました。

お世話になっております。仙台のWです。この度は本当にありがとうございました。震災前の綺麗な女雛になったと家族一同、大変喜んでおります。厚くお礼申し上げます。お節句にはぜひ写真を撮ろうと思っております。

時節柄、ご自愛ください。

御社のますますのご発展お祈りいたしております。

ありがとうございました

こちらこそです。

しっかりと修繕できましたので、どうぞ末長くお飾りくださいね。

お写真、ぜひ拝見させていただければと思います。

お人形の修理・リメイクにつきましては、こちらよりご覧ください。

こちらの旧ブログからは、さらに膨大な過去の修理例をご覧いただけます。

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