黙々と秀月オリジナルの徳川家康公の兜制作中

こんにちは、人形の秀月 十七代目です。

工房では2月の展示販売に向け、黙々と兜を制作中です。

五月人形の展示販売は、例年通り2月の中旬頃からとなります。

まず、こちらの兜の大きさは秀8号といって秀月の8号となり、この大きさの表記は各メーカー等により異なりますので注意が必要です。

制作工程を大分端折り目庇(まびさし)、忍緒まで付けた状態になっておりますが、この目庇の制作も忍緒を取り付けるのもショールーム二回の工房にて私が黙々と行っておりますので。

兜鉢は、鉄板を矧ぎ合わせた合わせ鉢を使用した基本の黒をベースに、星と呼ばれる小さな金の金具を周りに植えて、正面と後ろの方白(ほうじろ)の部分には銀のヘアーラインの板を入れ、上から矢印の様になっているのが篠垂れ(しのだれ)といって、前3本後1本(2本)という様に取り付け、兜鉢の頂点にある八万座(はちまんざ)という金具でグッと押し止めていきます。

こちらが正面になりますが、忍緒はあえて渋さと力強さを出したいので総角結びとし色は黒。

近頃ではカラフルな忍緒も見かけますが、結果的に多くの皆さんが選ばれるのは赤・黒・錆朱といった昔からの色となり、あまりカラフルになるとどうしても安っぽく見えてしまいます。

赤は魔除けの意味もあり見た目にも締まりますので、昔から大変好まれますね。

ここ静岡は、徳川家康公のお膝元ということもあり、兜も鎧も徳川家康公が大変好まれますので、家康公から制作しますが、こちらの葵の御紋はアンチモニに純金鍍金を施した本格派です。

アンチモニを使用しておりますので、小さくともどっしりとした重厚感もあり、大御所らしい風格が漂いますね。

他に真鍮やアルミ・プラスチック等の素材がありますが、素材の違いは必ず表れますし、かけるところにしっかりとかけてあれば、その分仕上がりも綺麗になり、完成度も上がり高級感が出てきます。

写真は、ある金具を留めるネジとピンですが、これらも真鍮を使用し純金鍍金を施します。

これも素材等により強度等も異なりますので、これらは場所により使い分けていきますので。

こうした素材や純金鍍金にしても、見えない所ですが見えないところだからこそ当たり前の事としてやってきましたので、品質の良さというのが加わってくる訳です。

ちなみに上の写真ですが、左が真鍮に純金鍍金で、右がアルミに金のアルマイト。

同じ金でもこれだけ違いが出ますし、部品の単価だけでも倍なんてものでは無いくらい違いますが、仕上げる兜の金額帯により使い分けたりもします。

それぞれの良さがありますので、適材適所で使い分ける訳ですね。

そして途中を端折りますが、こうして徳川家康公の兜の完成。

秀月とう作札が立てられ、私が制作した十七代目 秀月作として完成する訳です。

これを作札といい、ほとんどの人形に素材や形が変わり付いていると思いますが、本来は商品名や屋号・主に作者の銘が入り表に出しても恥ずかしくない看板として、信用の証としても付けられております。

ですので、お雛様も含めこの作札の銘を確認するのも失敗しない選び方の基本です。

実際にあった事ですが、私が制作した兜が全く違う名前でとある量販店のネットショップで販売されており、試しに「この作家はどんな方ですか」と質問したところ「関東の有名な甲冑師で・・・」と返答が返って呆れてしまいましたが、こうして実在しない作家名が作られている事も多い物ですので注意が必要ですね。

逆に、以前有名オークションサイトである業者が出品されている人形等にこの「秀月」の作札か使われており、全く触れた事も見た事も無いお粗末な物に説明文として「秀月作」と堂々と書かれていました。

自分たちの制作した物でしたら見ただけで直ぐに分かりますので、偽物と名誉棄損としてオークションサイトに申告したところ、直ちに全て削除されるという事態も。

どこかで作札だけを手に入れて、秀月作とすれば売れると思いやっていたのでしょう。

そうした悪徳業者も存在しますので、ご注意下さい。

さて完成した徳川家康公の兜ですが、左側の以前「小さな徳川家康公」としてブログ記事で書きました兜が秀5号(秀7号)で今回が秀8号ですので一つ上の大きさとなりますので。

これだけ大きさや創りの違いがありますが、同じ徳川家康公の兜でも僅かな金額の違いであれば皆さん間違いなく右側の少し大きな兜を選ばれます。

歯朶乃葉の前立ても大きくなりますし、吹き返しには葵の御紋も入りますので。

それでいて出し飾りにする場合は、お飾り台が間口が50cm程、もしくは収納箱でしたら間口が40cm程で、創りもプラスチックではなく本格的ですから。

製造元だからこそお伝え出来きる事が多いのですが、こういう時代だからこそ、お子様お孫様の為にも失敗しないお人形選びをしていただきたいと切に思います。

品物選びよりも大事なのは、お店選びですから。

そんなことを想いながら、2月に向け黙々と制作しております。

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