こんにちは、人形の秀月 十七代目です。
埼玉県越谷市のE様より、木目込み人形のお顔と冠の修繕を承りました。

E様は、以前当店にてお選びいただいたお客様で、その時の木目込み人形を落として首が折れてしまい、同時に嬰(えい)も折れてしまったとの事で。
木目込み人形の場合ですと、木目込みの胴に石膏のお顔が固定されておりますので、木目込みの胴に埋まっている石膏部分を削り取る作業から始まります。
折れた部分をそのまま接着しても、必ず欠けた部分がありそれが目立ってしまいますので。
胴体は、昔ながらの桐粉にしょうふのりを混ぜて作った桐塑になりますので、下手に刃を入れると削れてしまったり破損の原因にもなってしまいますし、その上には布地が木目込んでありますので、その布地を傷付けない様にと、通常のお雛様とは異なる注意が必要になります。
こうした事からも、良いお人形ほど手間も掛けられており、修理・修繕するにしても同じ様に熟練の技と手間と時間をお掛けする必要で、簡単に出来るものではないんですね。
そして無事に修繕が完了したのがこちら。

綺麗に元に戻りました。
今回は襟元が欠けていなかった事が幸いで、襟元が欠けてしまうとそれは胴の修繕の問題にもなってきてしまい、場所によって布地を傷付けて破れてしまっている事にもなれば、同じ布地でも周りの色とも合わせる為にも少し大掛かりとなってしまいますので。

こちらの角度からご覧いただいても、綺麗に修繕する事ができました。
新品同様です。

折れてしまっていた嬰(えい)の差込口ですが、こちらも綺麗に修繕する事ができました。
実際に嬰(えい)を差して確認しても、全く問題ありません。
こうした修繕は、簡単だろうとご自身でされると、逆に酷い状態になって持ち込まれる方も多くいらっしゃいます。
たまたま運良くできたとしても、また同じ様になってしまう事がほとんどで、逆に痛めてしまう事もほとんどですので。
やはり餅は餅屋ですので、先ずはお買い求めいただいたお店にご相談される事をおススメいたします。
E様この度は、誠にありがとうございました。
これからもどうぞ末永くお飾り下さいね。
2024年以前の修理・リメイクの記事はこちらよりご覧ください。
雛人形・五月人形の修理・リメイクのご相談はこちらよりどうぞ。
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