こんにちは、人形の秀月 十七代目です。
オープンに向けお飾りが進んでおりますが、お雛様を彩るお花たちも元気に花を咲かせております。

様々なお花がありますが、やはりお雛様というと桜橘(さくら・たちばな)や紅梅白梅が基本です。
昨今ではお花が無かったり洋花も増えてきましたが、やはり日本の伝統のお雛様にはお花があって、かつ和花が合いますね。
写真は小さな紅梅ですが、可愛らしく元気な花を咲かせお飾りを盛り上げてくれています。
井垣もリアルに再現されていて、幹や苔までも綺麗に創り上げられているんですね。
特にこちらは小さな紅梅で、まるでミニチュアドールハウスの様ですが、小さくても丁寧な仕事がなされており、もちろん日本製。

対してこちらは白梅ですが、こちらも可愛らしく元気に咲いております。
紅梅白梅で対になりますが、幹の形や苔の付き具合や花の咲き方まで、紅梅と白梅とで全く同じではなく、しっかりと創り分けられており、それぞれ表情が違うんですね。
井垣も、新しく見せたりあえて年数が経った様に見せたり。
特に作札も含めた木製品に関しては、新品に見える様にしたり年数が経った「あじ」が出て重みを出したりします。
こうして可愛らしく元気なお花を添えていると、お飾りしているこちらも元気を貰えるようで楽しくなるんですね。
これが、ただのお道具のひとつとして置いているだけであれば、その様な事も感じずただの造花としての存在になってしまいますから。
たとえ、どんなに小さなお花やお道具にしても、この手でお飾りする事により命を吹き込み、同じお飾りであっても「秀月さんのは何か違って凄く綺麗・・・何だろう」と言わしめる訳です。
それが単に売るだけの事と、お選びいただく事との違いですから。

そして、なかにはこうした楽人の火焔太鼓もあったりして、さらにお飾りが盛り上がりますね。
お飾りにとっては脇役かもしれませんが、そうした物だからこそ日の目を当ててあげる事で、お飾り自体が輝いてきます。

口花も、何気なくご覧になられているかもしれませんが、実はよくご覧いただくとこんなに綺麗なんです。
水引に桜の花で、お道具として何気なく飾ってあるところではただの造花ですが、ある事をして命を吹き込むとグッと映えてきますね。
これだけでなく、もっと作家物の桜橘や紅梅白梅等になりますと、綺麗や可愛いから美しいものとなり、それだけでお人形が揃えられてしまう程の金額の物もありますが、それは美しい作品です。
お茶会や室礼等で使用されるとの事でリクエストをいただく事がありますが、その見事さに驚かされます。
これは特別ですが、そこまでいかなくとも今ある物で、その良さを引き出しそれ以上のものを表現するのが腕です。
何も特別な物や変わった物を用意しなくとも、昔から伝わっているもの、今現在ある物でより良く魅せるのがプロフェッショナルですので。
そんな事を考えながら、ひとつひとつお飾りが仕上がっていくのが楽しくてたまりません。
手塩にかけたこの子たちが、どちらのお宅へ嫁いで笑顔をもたらしてくれるのか、今から楽しみです。
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伝えたい日本の心 美しい伝統
江戸時代初期から創業400年
人形師・甲冑師 十七代目 人形の秀月
