破魔弓

破魔弓は、男の子に「魔を破る矢のごとく、健やかに、たくましく育ってほしい」という願いを込めて飾られます。
破魔弓には羽の枚数によって、羽それぞれが特有の意味を持っています。

破魔弓の羽の枚数と、特有の意味

■ 四本矢破魔弓飾り

東西南北の四方の四神を表し、四方悪魔払いの意味も含まれています。
一羽の鷹から水切羽根は四枚しかとれません。羽根の柄は鳥ごとに違うため、四つ矢飾りは矢羽根四本で一組となります。

  • 東・・・青龍 家運隆盛
  • 西・・・白虎 夫婦円満
  • 南・・・朱雀 平安招福
  • 北・・・玄武 繁栄長寿

■ 五本矢破魔弓飾り

万葉の昔から最高位の色とされ五行思想・仁義礼智信を表します。

  • 青色・・・生まれ生ずる力・生命力の源
  • 白色・・・何事にも動じない心・希望
  • 朱色・・・強靭な心
  • 黒色・・・尊厳・人を尊ぶ心
  • 黄色・・・広い心

■ 六本矢破魔弓飾り

六徳(りくとく)を表します。

  • 知・・・直な心
  • 仁・・・思いやる心
  • 聖・・・汚れの無い心
  • 義・・・家族・兄弟を大切にする心
  • 忠・・・偽りの無い心
  • 和・・・穏やかな平和な心

■ 七本矢破魔弓飾り

七福神の御加護を表します。

  • 恵比寿・・・海上・漁業・商売繁盛の神
  • 大黒天・・・仏教の守護神 戦闘神・忿怒神。後に厨房神となる
  • 毘沙門天・・・北方世界の守護神、金運財宝を守る神
  • 弁財天・・・音楽・弁才・財福などを掌る女神
  • 布袋・・・家庭円満の神
  • 福禄寿・・・多くの鶴を従える幸福の神
  • 寿老人・・・鹿を連れた長寿の神

破魔弓の歴史

破魔弓は魔除けの意味で神社などにかなり古くから置かれ、色々な神事に使われていました。これが一般に広まったのは平安時代の中頃といわれています。この頃朝廷では皇子が誕生したときの魔除けとして鳴弦(めいげん)の儀式を行いました。また、民間では男子の初正月に、弓を入れる用具と弓矢を組み合わせた破魔弓を飾って祝ったといわれています。

 現在のような形の破魔弓が出来上がったのは鎌倉時代だといわれています。城下町を中心に、武家や町人の家に男の子ができると、初正月の祝いに破魔弓を贈る習慣が生まれ、それが全国に広く伝わりました。
 現在も残るこの習慣は、日本のこうした伝統に基づくもので、破魔弓が魔を追い払い、男の子が健やかにたくましく育つようにとの願いが込められています。