こんにちは、人形の秀月 十七代目です。
秀月オリジナルの絢爛豪華な立雛。
意外と知られていないのが、立雛は美しい衣裳がとても豪華に映えるということ。
一般的には座りのお雛様がほとんどで、目線の位置からすると真正面よりも少し上からご覧いただくとお袖の柄がよくご覧いただけますね。
そして見た目にも重心が低く安定感があるので、安心してご覧いただけると思います。
これが立雛の場合ですと、少し変わってきます。
読んで字の如く、立っているお雛様ですので座りのお雛様以上に、バランスが大事になってきます。
重心が上がってきますので、不安定に見えてしまう事もあり、作りによっては貧弱に見えてしまう事もある訳でして。
これは、結婚式の前撮り等で白無垢や打掛をお召しになり写真を撮られた方ならお分かりになるかと思いますが、カメラマンとは別にアシスタントが「おつくり」と言う洗濯ばさみやピンやゴムバンド等で衣裳の形を作り、綺麗な形を作ります。
私もスタジオ時代に、この「おつくり」というのを徹底的に叩き込まれまして、何分以内で仕上げるという事をやっておりました。
美容師さんよって着せ付けも特徴があったりしますので、それに順応しながら仕上げていく訳ですが、ただでさえ着慣れない衣裳に帯で締められて、中には妊娠されている方もいらっしゃり気分が悪くいなってしまう方もいらっしゃいましたので、「おつくり」に時間を掛ける事は許されず、その分撮影に時間を取れる様に配慮します。
バック紙の上に新婦さんをお連れして、新婦さんの体の向きを調整し足元から初めていく訳ですが、せっかくの衣装ですので綺麗な柄は見せたい訳ですし、かといって最も重要な事は和装であっても女性ですので細く綺麗に美しく映る様にする事。
どうしても立ち姿ですので、重心が上がりますので安定して見える様にする為には裾がポイントで、ここが綺麗に上手に出来ていると美しい立ち姿になります。
そして、これも和装での写真で経験がある方が多いと思いますが、かつらや帯も重いので踵重心になってしまい、首だけ前に出てしまう様になってしまうんですね。
これは立ち位置から始まり、重心移動をしていただきお顔の向きや角度も全てこなしていきます。
お顔の向き、角度、手の位置、指先形、手の甲の向き等といったところまであり、それと同時にお袖の振り方や見せ方というのを全てこなし遅くとも5分以内に仕上げ(5分では長いくらいです)、カメラマンにバトンタッチし撮影に入る訳です。
場合によっては、後ろ姿や和室で座り姿という撮影もありますので、人により体形や衣装の色柄は全て異なる訳ですから、それぞれに対応し一番綺麗な姿を写真に収めるという仕事を年間300組近くこなし、叱られ注意されながらも大変勉強になりました。
ちなみに、ここでお気付きの方も多いと思いますが、新郎さんは最初から最後までひたすら待ちです。
上記をそのまま全てをお人形にフィードバックしても、決して綺麗には映えませんので、お人形はお人形らしくお飾りに合わせ、かつポイントは押さえ綺麗に仕上げていく訳です。
そして魅せ場として
殿のお袖には縁起良く大胆に美しい鶴の刺繍。
そして姫のお袖には
優しくも春の訪れを感じさせる桜の刺繍。
お顔も、秀月のお顔の中でも極上仕上げのお顔を使用しておりますので、ショールームではその美しい表情もご覧いただけますので。
背景は、豪華ながらも控えめな金を基調とし縁起良く松と梅で二人をより一層引き立てます。
こうした事全てがバランスで、以前は毎年同じ同業他社がお客様のふりをして真似をしようと盗撮に来て袋井店の時には出入り禁止にしたのですがその後も人を変え・・・形だけ真似をしても同じ様にはできませんのでバランスは崩れ、結局「秀月と同じものが秀月よりも安く」と値引き販売の安売りをウリにしていましたが、結果的には皆さんご存知の通りで、今年からはその心配も無い様です。
こうして完成する秀月オリジナルのお飾りですが、ここに辿り着くまでに様々な経験をして、その経験をお飾り台という舞台の上で表現している訳でもあったりする訳ですので。
よくお客様からは「秀月さんは、何かが違う」とおっしゃられますが、その何かにこそ伝統プラス自身の経験に裏付けされたものがある訳で、既存の物でもよりいっそう生かしていく訳です。
十七代目 人形の秀月は皆様のお越しを心よりお待ち申し上げます。
伝えたい日本の心 美しい伝統
人形師 甲冑師 十七代目 人形の秀月