こんにちは、人形の秀月 十七代目です。
焼津市のS様より、秀月オリジナルの子供大将『天児(あまかつ)』 徳川家康公をお選びいただきました。

S様は奥様が磐田の方で現在は焼津市にお住まいで、遠方から遥々お越しくださいました。
本当にありがたい事です。
こちらの『天児(あまかつ)』ですが、十六代目の父が考案したお人形で、試行錯誤し誕生してから20年以上経ちますが未だご好評いただいております。
以前は「おぼこ大将」というカテゴリーでしたが子供大将になり、昔からの技法で実際に鎧を一から制作し着せておりますので、一般的によく見る子供大将とは創りも質感等も全く異なります。
誕生時は見向きもされなかった子ですが、現在では県外からもこの子の為だけにご来店されるお客様もいらっしゃる程です。
お顔は石膏で秀月オリジナルとして原型から型を起こし制作し、眉から紅まで全て熟練の職人の手描きですので、温かみと奥深さが生まれます。
全て国内の工房で日本人の手で一から制作しておりますので、より人間らしく、より人形らしく、より子供らしくし仕上られており、「これが日本の職人技」というものですね。
この子のお顔は大小合わせ6種類いるのですが、笑顔の子よりもこちらの口を結んだ凛々しい子の方が好まれ、京都の専門店様に依頼され、御所人形の様に真っ白いお顔の子もいたりしました。
鎧の生地も全て型を起こし、手や足は木製で秀月オリジナルの証として秀月の文字を彫り他所が使えない様にしてあります。

こちらが原型となる『天児(あまかつ)』です。
S様の『天児(あまかつ)』は、鎧の下のお着物に縅の色に合わせ京都西陣織の金襴、黄色の琳派を使用し、トータルコーディネートが図られております。
一枚目写真手前に少し映ってるのは鯉のぼりで、現在ではなかなか外に揚げる方も少なくなってしまっていますが、それでもせめて鯉のぼりを体感していただきたいと、昔ながらの専門の職人さんの手作りによる鯉のぼりで、大きさは高さが「屋根より高い鯉のぼり」という歌に寄せたく、『天児(あまかつ)』よりも少し高くしてあります。
右手には、采配(さいはい)をギュッと握りしめておりますので。
お飾り台と屏風は、古風にも茶系で木目を生かした美しい塗りで畳敷きとし、屏風の絵は端午の節句の美しい菖蒲が描かれております。
これは、昔から端午の節句に菖蒲(しょうぶ)を飾ったり、菖蒲湯に入ったり、地方によって風習が異なりますが、軒先に菖蒲をさしたり寝る前に枕の下へ菖蒲を置いたりと、さまざまな習慣があり、菖蒲には古くから邪気を払う力があると信じられており、健康や厄除けの効果もあると言われております。
また、武士が活躍する時代では、武士の精神を重視する「尚武」の考え方と関係が深かったと考えられていて、そのため力強く健やかな成長を祈願する意を込めて、現在の「端午の節句」に変化したという背景もあります。
こうして、きちんと意味いわれがあり、ただ単純に綺麗だからとかいう今時多い「見てくれ」だけのお飾りとは訳が違うんです。

弓太刀揃も、この子に合わせた豪華な弓太刀揃いで、力強さを表現しておりますので。
お顔はもちろん「秀月のお顔」で、子供らしくも凛々しい表情で昔からご好評いただいており、このお顔も見る角度で表情が変わりますので、いつまで見ていても飽きず、ずっと見ていたくなるお顔なんですね。
見れば見る程に愛着も湧いてくる、奥深いお顔。
ことらの『天児(あまかつ)』は、プラスチック類は一切使用しておりません。
だからこそ他所には真似の出来ない、秀月だけのオリジナルの子供大将『天児(あまかつ)』です。
S様はご来店時から「子供大将がいい」とおっしゃられ、他所もご覧になられたと思いますが、再び来店されこちらの『天児(あまかつ)』 徳川家康公をお選びくださいました。
S様この度は、秀月の子供大将『天児(あまあかつ)』をお選びいただき誠にありがとうございました。
ちょっとしたハプニングもありましたが、逆にそのおかげで親しくもなり話題も弾みまして。
新しい綺麗なお家で、楽しい初節句をお祝いくださいね。
例のスーパーの夕食、美味しかったです。
画像・文章等無断転載禁止
伝えたい日本の心 美しい伝統
人形師 甲冑師 十七代目 人形の秀月