こんにちは、人形の秀月 十七代目です。
浜松市中央区のK様より、古風で優しいお雛様をお選びいただきました。
実はK様、昨年は市松人形をお選びいただいているお得意様。
またこうしてご来店いただける事は、ありがたい事ですね。
お選びいただいたお雛様は、大きさが間口60cmで、お人形が立派に映える大きさです。
「小さいお雛様」とおっしゃられる方が多いですが、お飾り台が60cm~75cmの間が現代では一番綺麗にお人形が映える大きさで、いわゆる見栄えのする大きさとなります。
75cm以上となると、さらに高級なお雛様となり、60cm以下ですといわゆるコンパクトなお飾りとなりお人形自体もかなり小さくなりますので。
お飾り台は間口に比例し奥行も広くなりますので、間口が広いお飾りほど裳も広がった豪華なお雛様が座ります。
お人形に使用されている裂も、柄が大き過ぎず小さ過ぎず丁度よい柄の大きさで、お人形に使用される反物は幅約37cmで長さ約12mとなり、その中に程よく収まる美しい柄で、一本の反物から何本のお雛様が制作できるという計算になる訳ですが、そうした事も踏まえ、丁度よく豪華に映える大きさがお人形表記いうと、京十番や三五・十番という大きさとなる訳です。
その下の芥子や柳というと、その昔は御殿飾りの中に入っていたお人形の大きさで、「芥子の実の様に小さい」という意味もあるのですが、そこまで小さくなると金襴だとそこまで小さい柄は織り難くなってしまいますので、全体に柄の入った総柄であったり、金襴を使用していない場合も多くなりますね。
やはり、メインの柄はお袖に持ってきますので、良いお人形となるとお袖に袖幅に合った美しい柄が入るものです。
ただし、これらは作者やメーカーによっても異なりますのでご注意ください。
K様にお選びいただいたお雛様ですが、優しい色合いに春らしく桜の刺繍が施されております。
お顔も、胴体の形や衣装に合わせて、少しふっくらとさせ幸多きお顔でお化粧も紅を薄い桃色としバランスを整えた秀月オリジナル。
お顔だけ目立つ事は無く、衣装だけ目立つ事も無く、双方が組み合わさりしっとりと優しい雰囲気を醸し出す様にと仕上げられております。
その二人を引き立てる屏風は、木枠は木目を生かした焦茶塗りで、優しい花が描かれ特徴的な御簾(みす)が付き、御簾は分かりやすく言うと宮殿・神殿などに用いる貴人を敬って、その用いる「すだれ」の丁寧語。
お飾り台も、屏風と合わせ木目を生かした焦茶塗りに畳敷きで雅やかな世界と高級感が生まれます。
お花も小さな可愛らしい小桜を使用し、井垣のついた昔からの使用ですね。
お道具は菱三方(変形)で桜の柄が入り、瓶子には可愛らしい桜の花を挿しております。
こうして仕上げられたお飾りは、豪華さもあり可愛らしさもありで大変喜ばれますね。
ひとつひとつが高価な物を使用していても、肝心な事はトータルバランスですので、こうした事が専門店の中でもプロの腕の見せ所です。
K様この度は、秀月のお雛様をお選びいただき誠にありがとうございました。
ご指定日にお届けいたしますので、ご家族皆さんで楽しい初節句をお迎えくださいね。
十七代目 人形の秀月は皆様のお越しを心よりお待ち申し上げます。
伝えたい日本の心 美しい伝統
人形師 甲冑師 十七代目 人形の秀月