こんにちは、人形の秀月 十七代目です。
東京都北区赤羽のE様より、男雛の髪の毛の修理を承りました。
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E様は最初、昨年の2月にお電話にてお問い合わせをいただきました。
「男雛の髪の毛が解けてしまって・・・」という事で、これもとても多い修理のひとつです。
とりあえず、3月3日はそのまま冠を被せていただけば何とか納まりますので、3月3日以降にお送りくださいという事でお送りいただきました。
男雛の場合、髪の毛が短いのでご自身で直そうとしても先ず無理で、逆に余計に酷くなってしまいますのでご自身での修理は絶対にお止めください。
酷くなってからですと、修繕代もかさみますし手が付けられない状態にもなってしまいますので。
そしてE様にお送りいただいたお顔を拝見しますと、確かに見事に解けてしまっています。
解けてさらに全体も乱れてしまっていますので、結髪をしなければなりません。
ただでさえ男雛の場合は髪の毛が短いので、結ぶと言っても至難の業となります。
お相撲さんの髷を結うのと同じで、ある程度の長さがあり櫛でまとめて結ってから切るのが通例で、皆さんが思う以上に大変で難しい仕事ですので、熟練の技が必要となります。
そして、修繕が完了したのがこちら。
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綺麗に結髪が出来ているのが、お分かりいただけるかと思います。
大きさは業界用語で言うと大三五で、男性の親指大程の大きさですが、それでも小さいお顔ですので。
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ピシッと引き締まって、綺麗な笑顔も出ました。
昔にお買い求めいただいたお雛様かとは思いますが、綺麗な表情のお顔ですね。
流行に左右される事の無い良いお顔ですので、新調ではなく修理してでもお飾りしたくなるお気持が良く分かります。
よく簡単に「買い換えた方が安いです」という店もある様ですが・・・修理をご希望されるお客様にとってはそういう事ではないんですね。
私は、ただ売るだけではなく、ご相談に来られたお客様のお気持を察する事も必要だと思うのですが。。。
E様この度は、誠にありがとうございました。
綺麗な髪の毛に戻りましたので、どうぞこれからも末永くお飾りくださいね。
お雛様の修理につきまして、今からですと今年の雛祭りには間に合いませんので、来年の雛祭りに向けての修理となります。
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