こんにちは。人形の秀月 十七代目です。
私の制作した、特注北米レクサス着用兜が紹介されました。
詳しくは、兜の紹介というよりもイリノイ州 ウェストモントのレクサス販売店のMcGrath Lexus of Westmontさんというディーラーが、『兜賞』をいただきましたという記事です。
憧れの『兜賞』という事で、ごくわずかな一部の人しかいただけない様で。
事の始まりは、数年前に電通さんからメールが届き「秀月さんは兜を制作しているとの事で北米レクサス本社向けに制作をお願いさせていただきたいのですが、その前に先ず工房に伺ってお打ち合わせをお願いでますでしょうか」と担当者の方が私のブログをご覧になられており、実際に制作しているという事が分かりご連絡いただいたのが始まりです。
それまでは他所の兜を使用していたそうですが、写真を拝見させていただくと二回り小さく更にプラスチック製で。。。
後日、電通本社から担当の方がお越しになられ打ち合わせをし、より日本の兜らしくより高級にと。
兜鉢から忍緒の色まで、細かく打ち合わせし制作し納めさせていただいております。
兜鉢は大きさは30号で本格的に鉄片を矧ぎ合わせた『矧ぎ合わせ鉢』で、忍緒は両側に結びを付け色は昔からの『サビ朱』を使用した、伝統的な兜です。
詳しくは北米レクサス本社からの特注レクサスモデル着用兜の制作をご覧ください。
より高級志向という事で、金具類は全て高価な純金鍍金を施してあります。
昨今の金の相場が跳ね上がっている事と、鉄や真鍮等といった地金も上がっている為、より高価にはなってはしまいますが日本を代表していく以上妥協はできませんので。
詳しくは
北米レクサス本社からの特注レクサスモデル着用兜の制作 その2をご覧ください。
画像や説明をかなり端折っていますので簡単に創っている様にも見えますが、実際には何もない状態から下地作りより始まっていますので、何十工程という気の遠くなる工程補経て完成していく訳ですので。
鍬形(くわがた)を差す台輪(だいわ)という金具の取り付け位置の確認をしているところで、この台輪という金具はあえて更に分厚い素材を使用し、華やかに牡丹柄用いて重量感を感じさせる様にし、兜として最も目立たせる部分ですので迫力と美しさが大事になってきます。
同じ様に純金鍍金を施し、一部磨きとし美しい光沢と立体感を兼ね備わった上品な仕上がりになる様にと仕上げていくわけです。
この際に使用している鍬形も、素材の生地を厚くし重量感と鋭さ緊張感を持たせ、日本の伝統的な兜へと仕上げてあります。
こちらの鍬形は、こうして差してみるとどこか緊張感を感じられると思います。
これは、鍬形の形状であったり素材であったり素材の厚さであったり、様々な要因を合わせバランスを取り創られているので、重量感を感じながら緊張感漂う美しい仕上がりとなる訳ですね。
そして、木彫金箔押龍頭(きぼりきんぱくおしりゅうず)を配します。
この龍頭も貴重で、現在の兜では殆ど見かける事が無くなってしまいました。
その昔は鋳物の龍であったり獅子であったりと様々なものがありましたが、現在では作る職人さんも殆ど居なくなってしまいました。
龍の手には、必ず魔除けや浄化の意味を持つ水晶玉を持っているのですが、そういった事も知られなくなってしまいましたね。
北米レクサス本社からは「この龍頭は必ず付けて欲しい」とのリクエストでしたので、いかにその意味や良さを知っているという事でしょう。
詳しくは北米レクサス本社からの特注レクサスモデル着用兜の制作 その3をご覧ください。
こうして私が手塩にかけて制作し北米に送っていましたが、実際にどの様になっているのか見るのは初めてでした。
少し照れくさい様にも感じますが「なんだかグッと高級感も出てて格好いいな・・・」と。
袱紗(ふくさ)の被せ方も説明書をお入れしましたので、その様に綺麗になっていますね。
こうして私の制作した兜たちが、そこから更に信頼のおける様々な方々の手に渡り、そこから更に広がっている事を思うと、なんだか少し誇らしくも感じます。
決して大々的に爆発的に広がる様なやり方はせず、選ばれた方々の中で少しずつ広がっていく様な。
これも代々続く『秀月』という名があっての事ですね。
既に今季もご注文をいただいておりますので、地道にコツコツと手寧に制作し、北米レクサス本社へ送りたいと思います。
ちなみこちらの着用兜ですが、秀月オリジナルで私が制作しておりますので実際にショールームで販売しており、端午の節句では徳川家康公や伊達政宗公等もお選びいただけますので、気になる方はお気軽にお問い合わせください。
これが『創業400年 十七代目 人形の秀月』という名の伝統と信用です。
伝えたい日本の心 美しい伝統
人形師 甲冑師 十七代目 人形の秀月