こんにちは、人形の秀月 十七代目です。
富山県射水市のK様より、殿と姫のお顔と髪の毛の修理を承りました。
![](https://shugetsu-doll.jp/wp-content/uploads/2025/02/IMG_5004-EDIT-1024x768.jpg)
最初K様はブログをご覧になり下記の様にお問い合わせをいただきました。
メールにて問い合わせ失礼いたします。
ブログから拝見させていただいたのですが、娘のお雛様のお顔にシミ(カビ)が数点できてしまい、髪の毛も乱れた箇所があり、悲しい気持ちになっております。
お見積もりをいただいた上で検討させていただきたいのですが、修理依頼をお願いできますでしょうか。
お手数お掛けしますが、宜しくお願い致します。
この様に皆さんご丁寧に書いてくださり、お雛様を大切になさっているという事が伝わってきますね。
こうして丁寧に書いてくださると、人として自然に仕事もより一生懸命せねばと心動かされるものですので。
さて先ずはお顔ですが、確かにシミが何か所かに出てしまっています。
これは内側からのカビですので、きちんと取り除かねば胞子が残ってしまい再発してしまいますので、その部分を取り除かねばなりません。
![](https://shugetsu-doll.jp/wp-content/uploads/2025/02/IMG_5002-1.jpeg)
次に髪の毛ですが、後ろの部分が切れたりほつれてしまっています。
しまう時に顔紙を被せるのですが、その時に巻き込んでしまったのかもしれませんね。
![](https://shugetsu-doll.jp/wp-content/uploads/2025/02/IMG_5003-1.jpeg)
下地も出てしまっているので、こうなると大掛かりな修繕となります。
切れてしまっていたりほつれてしまっている部分は、よくその部分だけを切ってしまうお客様もいらっしゃいますが、後々大変な事になりかねませんので絶対にお止めください。
切ったところで、また同じように再発するか、それ以上になってしまいます。
下地が出てしまっているのは、その部分だけの小細工をしても直りませんので。
人間と同じで髪の毛は上から下までおりますので、下の結びを解いて簡単に言うと専用のコテや櫛を使用して、結い直しの作業となります。
いわゆる結髪(けっぱつ)という作業ですね。
![](https://shugetsu-doll.jp/wp-content/uploads/2025/02/IMG_5005-1-1024x816.jpeg)
殿のお顔も、耳の部分にシミができてしまったり
![](https://shugetsu-doll.jp/wp-content/uploads/2025/02/IMG_5006-1.jpeg)
反対側も、少し見にくいですが耳の部分や頬の部分にシミが出てしまっています。
シミは放っておくと広がっていく可能性もありますので、できれば見つけた時点で早目の修繕をお勧めいたします。
それにしても毎回思うのですが、皆さん綺麗なお雛様だなと。
そして、皆さん大事になさっていますね。
そして修繕官僚したお顔がこちら。
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お顔のシミも綺麗に取れ
![](https://shugetsu-doll.jp/wp-content/uploads/2025/02/IMG_5994.jpg)
髪の毛も綺麗に結い直しまして
![](https://shugetsu-doll.jp/wp-content/uploads/2025/02/IMG_5992-1024x812.jpg)
殿のお顔のシミも綺麗に取れ
![](https://shugetsu-doll.jp/wp-content/uploads/2025/02/IMG_5995.jpg)
耳周りのシミも綺麗に修繕いたしました。
修繕前と後で、お人形のお顔の表情も違うのがお分かりいただけますでしょうか。
修繕前は、どことなく寂しいというか暗いお顔の表情でしたが、修繕後は二人とも晴れやかな明るい笑顔となっております。
こうした変化にも気付いていただけると、より一層お人形を大事にされる様になると思います。
それには先ず、ご案内する側(売る側)の人間が、ただ商品として売るだけでなく大事に取り扱い綺麗に展示し、その良さを口よりも先に、ご覧いただいた瞬間にお伝え出来る様にする事が大事だと思います。
昔と違い「量より質」の時代ですから、お節句という日本の伝統行事・文化を伝えていく為にも、単純に値引きや安売り等で価値を落としてしまう様な事はせず、売る事よりも先ずは伝える事を大事にしていいただきたいと思います。
K様この度は、誠にありがとうございました。
そうぞ末永く大切にお飾りくださいね。
十七代目 人形の秀月は皆様のお越しを心よりお待ち申し上げます。
お雛様の修理は、今からですと3月3日に間に合わない場合もございますので、修理ご希望のお客様は3月3日以降に余裕をもって修理されることをおススメいたします。
雛人形・五月人形の修理・リメイクにつきましてはこちらよりご覧ください。
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人形師 甲冑師 十七代目 人形の秀月