周智郡森町のO様は伊達政宗公の兜飾りに両立幟

こんにちは、人形の秀月 十七代目です。

周智郡森町のO様より、渋い伊達政宗公の兜飾りをお選びいただきました。

O様は、お正月飾りもお選びいただいており、おっしゃった通り五月人形もお選びくださいました。

本当に有難い事です。

お選びいただいた兜飾りは、「とにかく渋く格好よく」というコンセプトで仕上げたこちらのお飾りで、ブロンズ(というより黒)を基調とした伊達政宗公の兜は創作をまじえて、より渋く格好よく仕上げられたもの。

兜鉢には阿古蛇形鉢を使用する事で、正面からのシルエットを少し細くしつつ、政宗公の象徴となる三日月の前立てがより大きく映える様にと。

この政宗公の象徴となる三日月の前立てですが、アールを付けて立体的にな仕上がりになっております。

小札は黒小札ですが、より鉄板部分の多い伊予札とし、黒糸縅でより渋く仕上げてあります。

写真は周りを変えてありますが、渋くても地味にならないのは兜自体の作りの良さです。

忍び緒は、通常は赤や紺が多いのですが、太くし銀と黒で仕上られた忍緒を使用する事で力強さが増す様にと。

そして袱紗は、やはり高貴な紫(古代紫)を使用し、渋さに拍車をかけています。

こちらの兜飾りは櫃飾りですが、櫃の金具類も全て黒で統一し、一切煌びやかさを無くしたもの。

背景となる屏風は、半月板に神代塗りを施し二色柄の屏風とし、銀の龍神の金具を取り付け渋く。

弓太刀揃いも銀色で統一し、渋格好良いお飾りへと仕上げました。

そしてO様は、鯉のぼりは揚げないので代わりに両立幟をと。

高さ:約40cm
素材:木製・布製 


両立幟といって昔からある脇飾りで、昔はもっと大きく鯉が跳ねている様な形の物をご覧になられた事があるかと思います。

昨今の住宅事情などから「鯉のぼりを揚げる場所が無くて・・・」といった方が、鯉のぼりの代わりにとお選びになるお客様が多くいらっしゃり、中にはこの両立幟のみをお求めに来られる方もいらっしゃいます。

小さくともしっかりと、昔ながらの五色の縮緬を使用した吹流し。

矢車も、昔から変わらない製法で全て手仕事で制作されております。

ちなみに、こちらは以前私が修理いたしました東京都練馬区のK様より約40年前の両立幟の矢車の修理です。

鯉は2匹ですが、手作りで優しい色使いで上品な仕上がり。

矢車も、小さくとも大変手の込んだ職人の手仕事です。

実際に修理をしてみて、その大変な手間を身をもって実感いたしました。

両立幟は、昔はもっと大きくリアルに鯉が跳ねている物であったり、さらに昔は厚紙で作られていました。

これは「鯉が滝を登り龍になる」という立身出世を願う「登竜門伝説」の形。

その様な意味のある両立幟ですが、小さくても完成度は高く、熟練の専門の職人による手づくりの品ですので、高級感と温かみがあり、何よりもお飾りを引き立て、お節句感を盛り上げてくれますね。

昨今では様々な室内飾り鯉のぼりがありますが、原点回帰でこうした昔からの素朴な両立幟にされてみてはいかがでしょう。

風合いも良く、長くお飾りすればするほど「あじ」が出てきて、お飾りの雰囲気も変わる事間違いありませんから。

兜や鎧・子供大将でお子様を守り健やかな成長を願い、両立幟でお子様の立身出世を願う昔からの形なんですね。

お飾りとしての可愛い室内鯉のぼりも良いですが、きちんと意味があり流行に左右されない、昔からの両立幟を添えてお子様の嬉しい初節句をお祝いされてみてはいかがでしょう?

ちなみに、一本に吹流しと鯉が付いた鯉幟もございます。

この昔ながらシリーズ(勝手に命名してます)ですが、今時の縫いぐるみ製の室内鯉のぼりよりも実は喜ばれたりもするんですね。

どこか懐かしさもあり、玩具っぽさも無く高級感もあり風流なんです。

個人的にもおススメの逸品ですね。

O様この度は、秀月の兜飾りをお選びいただき誠にありがとうございました。

渋い伊達政宗公に、風流で賑やかな両立幟で楽しい初節句をお祝いくださいね。

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