上品なお雛様の飾り方

こんにちは、人形の秀月 十七代目です。

時にはこの様に上品なお飾りの仕方も。

現在では様々な屏風がありますが、自然が生み出す景色は最高の屏風(背景)ではないかと思う訳です。

お人形を創る側の人間からすると、あくまでお飾りの主役はお人形ですので過剰に装飾やデザインされた屏風は、お人形よりも目立ってしまい、お人形の存在も消してしまう可能性もあります。

どうしても最初にお飾りをご覧になった時、一番面積が大きく目に入るのが屏風ですので、屏風が派手になっているとお飾りも豪華になった様な錯覚になり、肝心のお人形をご覧になると「あれ?」というお飾りを見かける事が少なくはありません。

それもひとつのお飾りの完成形かもしれませんが、やはり主役はお人形ですので、屏風はお人形を引き立てる物であって主張し過ぎる物はどうかと思います。

バランスが取られているお飾りであれば別ですが、屏風ありきではなく、人形ありきで仕上げられているお飾りが基本です。

もっともお人形が美しく映えるのは「ひなまつり」の歌にもある様に基本の金屏風ですが、金紙ではなく、より良い金箔を使用した金箔押し屏風ですと奥深く神々しくも美しく映えますね。

写真は、とある和風建築のお部屋でガラス越しに建物や木も見えましたので、それを背景にと撮影したものですが、私たちにとっては見慣れた和風のお家とちょっとした庭ですが、ちょうど木が上から覆いかぶさる様になり美しい背景となりました。

普段、何気なく目にしている景色でも、少し見方を変えれば立派な背景となり、この様に屏風の代わりにもなるんですね。

これだけで極上のお飾りです。

お飾り自体は通常の黒塗りのお飾り台を使用し、そこにあった文机の上に置いただけですが、お飾り台の上には少し上質なお道具を載せても良いかもしれませんね。

そうやって、毎年ひとつずつでもご家族で全国を旅行しながら上質なお道具を探し買い求め、お飾りを創り上げていく楽しみも良いと思います。

それがお子様の成長と、ご家族の思い出にもなりますので。

それには先ず、基本となるお人形は上質なお人形を揃えておく事です。

お人形自体が上質なものであれば、お人形自体に余裕が出来ていますので、それだけ工夫できる範囲も広がりますから。

こちらのお飾りに使用されている殿もこの様に。

シンプルですが優しいお色で梅の花が刺繍され、お顔はお着物に合わせお化粧が施されたオリジナルの極上のお顔です。

金襴であったり、刺繍であったり、それを使用していればなんでも豪華(高価)なのではなく、それらを生かす丁寧な仕上げの良さとバランスです。

姫も殿と同じ柄で、決して派手さはありませんが上品さが漂いますね。

もちろ、秀月でご好評いただいてる十二単を大振りに厚く着せたお雛様は、絢爛豪華な美しさがあります。

この辺りはお好みや考え方次第ですが、私はお雛様のお飾りをひとつのお飾りとしてバランスよく仕上げててありますので安心してお選びいただけますが、そのお雛様がお客様の元へ嫁いだ後、そのお雛様(お飾り)を育てていくのは実はお客様なんです。

これはリメイクを含め、多くのお客様のご相談に乗らせていただいておりますが、全てが新調され高価な物にするのではなく、身近な物で応用しより良くならないかとか、あそこへ行けばこういう素敵なお道具の代わりになる物が選べますよといった様にご提案させていただく事もあります。

こうした事は人形師・甲冑師、人形専門店だからといって、人形業界の中だけに縛られず、似たような共通する世界でも別の世界も含め、様々な知識と経験が必要となる訳ですね。

個人的に、それを楽しんでいますが・・・

ちょっとした遊び心も入れると、お飾りはいくらでも良くなりますが、それには先ずはした基本となるお雛様をきちんとお選びください。

良いものほど、年月とともに後々「あじ」が出てくるものですので。

そして、その横に・・・

こちらはショールームでご案内させていただいた市松人形ですが、こんなに可愛いく潤んだ瞳で見つめるお顔の市松人形が添えられていれば。。。

私が親であればイチコロです。

お雛様はお子様のお守りで、市松人形は身代わりのお人形ですので完璧ですね。

要は、売る側がこうした良きお人形たちを知っていて、かつ仕事も知っていてお客様に本音でお伝えできるかです。

近頃では意味や言われも関係なく、単なるインテリア化してしまったお飾りを多く見かけるのが残念ですが・・・

十七代目人形の秀月は、代々昔から変わらぬ姿勢で、少し遊び心も取り入れながら、『伝えるべき日本の心と美しい伝統』としてご案内させせていただいております。

全てそうですが本当に良い物は、そう簡単にSNS等で外部には露出はしないので、ご足労でも来店され実際にご覧いただく事が間違いありません

十七代目 人形の秀月は皆様のお越しを心よりお待ち申し上げます。

伝えたい日本の心 美しい伝統
人形師 甲冑師 十七代目 人形の秀月

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