こんにちは、人形の秀月 十七代目です。
以前ご紹介したオーストリア ウィーンへ旅経つ私が創る秀月オリジナルの兜が無事に伯爵の元へ。

嬉しそうに、喜んでいただけて良かったです。
兜は長い旅を終え、無事にオーストリア アルトシュテッテン城へ到着。
その城内のプライベートエリアを抜け、さらに進みフランツ・ヨーゼフの肖像画、フランツ1世の肖像画、メキシコ皇帝マキシミリアンの肖像画、そしてスペイン系ハブスブルグ一族の家族の肖像画など、教科書で見たような肖像画が掛けられた螺旋階段や廊下をわたり、白のサロン、イエローのサロンを抜けると、レッドサロンと呼ばれる一番広い部屋へ。

その部屋の棚には、昨年贈らせていただいた「伊達政宗公」の兜が飾られていました。
その横に今回の兜も。
伯爵は、去年のデザインも武将が誰だったのか調べて、とても関心を持ってくださったようで、兜を2つ並べてとても喜んでくださったそうです。
本当に嬉しく有難い事ですね。
こうしてご覧いただくと、「洋間にも合う」や「北欧調云々・・・」等というセールス文句のお飾りを今年は特に多く見かけますが、写真は本家本元の洋間ですので、和の要素はひとつもありません。
ましてや13世紀には、このお城はオーストリアの古文書にすでに登場しているという事で、由緒あるアルトシュテッテン城です。
そこに、媚びる事無く日本の兜。
何を基準として「洋間に合う」「北欧調」なのか分かりませんが、単に白木や淡い色系の物を指すのであれば、こうして本家の洋風の作りや色使い等も含め本物を研究し、こうした場所に調和するお飾りであっていただきたいなと思いますが。
ただし、こうした世界を知っていて、本物を知る方は先ずそうした物は選びませんので。
必ず、自国の伝統や文化やその背景を尊重し、そして相手の伝統や文化等を尊重し選ばれ、かつ喜ばれます。
「伯爵は、自身がこのような一族に生まれた者としての心得、お母様の、そしてお父様のお家の由来をお話し、若き伯爵が本当に一族の歴史に詳しく、受け継ぐことを大切に思われているかに感動を覚えたのでした」との事ですので、自国や自身の事に誇りを持たれているという事でしょう。
背景に、目には見えないこうしたストーリーがあるからこそ、聞く人に感動を与えるのです。
私たちの人形業界も、一生懸命頑張っている人形師・甲冑師・頭師等々・・・様々な職人が頑張っています。
また、そういう方々の裏では影で支える縁の下の力持ち(従業員・内職さん等)的な存在の方々がいます。
こうして、日本の伝統や文化や作品は、継承され後世に伝わっていく訳ですね。
それを商売っ気が強くなり、安価で量産したり某国で作らせたりと・・・作り手も減り本来の価値も失いつつあります。
少し横道に逸れ過ぎている、某国のどこの誰が作ったか分からない様な雛人形や五月人形を見かけますが、もちろん時には遊び心も必要ですが、奇をてらわず当たり前の物が当たり前にある中で、本物とそうでない物が見分けられなければ、都合の良い言葉に踊らされる事になってしまいます。
『商品選びよりも、お店選び』という言葉がある通り、お雛様や五月人形も高価なお品ですから、「何故そのお店を選び、そのお飾りを選ばれるか」という原点に戻り、それが「安さ」であるのなら、探せばそれ以上に安価でいくらでも見つかり結果的に「○○の銭失い」ではありませんが、それよりも目を肥やし価値ある品を見定め「価格の違いは、品質の違い」と思っていただければ間違いありませんので、信頼のおけるお店で実物をご覧になり、お選びいただき可愛いお子様・お孫様の為にお祝いいただければと思います。

「伯爵って美男子だなぁ・・・私と雲泥の差だなぁ・・・」と思いながら、遠くオーストリアのアルトシュテッテン城 レッドサロンで、私が制作したコンパクトな兜ですが、「小さくとも日本の伝統だい!」とばかりに、誇らしく頑張って異国の地で花を咲かせております。
尚、この度も神奈川県横浜市青葉区青葉台のAntiques Violettaさんやオーナーのsakura.aoyamaさんや皆さんにもご協力いただき、誠にありがとうございました。
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十七代目 人形の秀月は皆様のお越しを心よりお待ち申し上げます。
伝えたい日本の心 美しい伝統
人形師 甲冑師 十七代目 人形の秀月