こんにちは、人形の秀月 十七代目です。
お子様の健やかな成長を願う、秀月オリジナルの上品に美しいお雛様。
お陰様でご好評いただいております秀月のお雛様ですが、世間では白系のお雛様が多いと言われている中で、上質な美しい白というのは少ないかと思います。
これは裂(きれ)の違いもあり、織元はどこであるかという産地であったり、またその美しさをいかに引き出すかという技も必要となります。
これが本来の老舗専門店の技のひとつで、飾り台、親王台、屏風、雪洞等・・・といった道具類を使い分け、バランスを取りながらひとつのお飾りを完成させていく訳ですが、今ではこうしてご案内するお店も少なくなり、店主のセンスやなにも関係なく、ただ物が多くあるだけで「自由に選べます」といった、これも時代の流れなのか問屋の様な売り方が増えてきてしまいました。
こうなってしまうと、専門店ではなく誰でも出来てしまう販売店になってしまうので、はたしてお客様がそのお店でお買い求めされる価値は何処にあるのかなと思ってしまうのは私だけでしょうか。。。
さて、こちらのお雛様ですが、親王飾りとしてご用意させていただいております。
同じ白でも、全体に下地紋様が織り込まれた自然の光沢ある美しいお着物には、少し紫を取り入れながら桃色も取り入れ、大人の雰囲気も持たせつつ、どこか可愛らしさも残す様にと。
お袖には金雪輪に桜が織り込まれ、優しくも美しい仕上げとなっております。
殿も同じ柄のお揃いの着物で、殿は正面にも桜の刺繍が入り、美しく上品に映える様にと。
春らしい明るさもあり、すっきりとしながらも柔らかく爽やかな風が心地良い様な。。。
少し上からご覧いただくと、その美しさがより一層お分かりいただけるかと思います。
その美しをご覧いただきながら、毎年お飾りしたり、しまったりと、それ自体が楽しくなってしまいますね。
人の本質として、良い物や美しい物を手にすると、自然と嬉しくなってしまうんです。
お顔は、秀月のお顔としてご好評いただいている、少しふっくらとさせお化粧を微調整しながら優しく微笑む幸多きお顔。
殿も同じで、分かるか分からない程度のお化粧の変化を付け、お着物とのバランスと整える事でどちらか一方だけが目立つ事なく、違和感なく一人のお雛様としてご覧いただけます。
いくらお顔が良くても、バランスが崩れていれば何の意味も無く、違和感だけが残りますので。
お陰様で、実物をご覧になるお客様は皆さん口を揃えて「秀月さんのお人形はお顔も全部綺麗・・・」とおっしゃっていただけるのは嬉しい限りです。
二人を引き立てる屏風は、昔と変わらぬ金箔押屏風を使用し、上質な金箔を使用しておりますので、落ち着きがあり奥深く光背の様に、二人をより一層美しく引き立て、あらためて金箔押屏風のお飾りの美しさを再認識していただけますので。
お気付きの方も多いかと思いますが、殿と姫が座っている親王台は畳を使用しております。
昨今ではスタイリッシュなお飾りとして、板のみを使用しているお飾りも多くなりましたが、やはり温かみと高級感を持たせるという意味では形や大きさは変われど、個人的には畳の親王台を多用します。
正面からご覧いただくと、親王台には昔ながらの繧繝模様(うんげんもよう)が見えますが、これは昔から身分の高い人のみに許されていた大変縁起の良い模様というのも、皆さんあまりご存知ないかもしれませんね。
それぞれにきちんと意味があるんです。
二人を灯す灯には雪洞を使用し、黒枠の線を細くし存在感を薄くしつつ、絵柄は出来るだけ目立たせずも繊細で優しい桜が描かれ、上品にほんのりと二人を照らします。
他にも見所はあるのですが、よくある足し算形式のお飾りよりも引き算形式のお飾りで、ポイントは押さえながらなんでもかんでも無くしてしまうのでは無く、意味のある必要と思う物は残し、お飾りの完成度を高めていきより一層二人を引き立てお飾りが引き立つ様にするのも老舗専門店として職人の技ですので。
現代的なインテリアの様なスタイリッシュなお飾りも良いかもしれませんが流行に流されず、今は小さなお子さんが大きくなってもお飾りしたくなる様な・・・そんなお雛様になってもらったらと、楽ではありませんが楽しんでおります。
これも代々伝わる「秀月の護守護雛」の由縁のひとつです。
十七代目 人形の秀月は皆様のお越しを心よりお待ち申し上げます。
伝えたい日本の心 美しい伝統
人形師 甲冑師 十七代目 人形の秀月