こんにちは、人形の秀月 十七代目です。
お人形の大きさは、表記上は同じでも作者やメーカーにより異なる事はご存知でしょうか?
最近、お客様よりよくご質問をいただくのが「この人形は何番の大きさですか?」や「何番の大きさの人形ってどれですか?」
というご質問。
これはネット販売や量販店等での表記、販売員の説明等で聞いてきて、比べたいが為にご質問されるのだと思いますが、ほぼ参考にならないと思っていただいて間違いないでしょう。
私達の様な専門の人間になりますと、「同じ大きさでもあの作家さんの人形は振りが大きくて豪華」や「あそこのメーカーは振りがコンパクトでおとなしめ」等というのが分かっていますので、お飾りの仕上げも変わってくる訳です。
これはいわゆる「特徴」というもので、人形師・着付師が制作するものであれば作りはきちんとしているので、良い悪いというものではなく、その人形師・着付師の特徴、またはそれぞれの個性の表現であると捉えていただければまず間違いはありません。
では、「量販を目的で作られているお人形は、いったい何処で誰が作っているの?」となりますが、それは聞かない方が良いのかもしれません。
昔はあり得なかった事ですのでお分かりいただけるかと思いますが・・・それはその販売店のスタイルですので、お人形よりもその前に、お店選びが重要となってくる訳です。
さて、この番数の呼び方ですが、業界用語ですので表記されていたり説明をされたりすると、プロっぽく感じてしまうかもしれませんが、お客様にとっては「?」だと思います。
お着物を着たお雛様の場合、大きさの呼び方は人形業界独特のもので、十四番・十三番・三五・十番・九番・八番・・・と番号が小さくなるほど人形は大きくなりますが、これは関東風の呼び方。
京都のお雛様となると、京九番・京八番などという呼び方をします。
例えば、関東風で十番は京風では京八番・京九番、関東風で三五は京風では京十番といった具合です。
いわゆる、関東と関西(京都)では呼び方も変われば大きさも若干変わる訳で、さらに各人形師・着付師によって各々が個性のある着せ付けをして特徴を出してありますので、大きく見えたり大人しく見えたりする訳です。
現在ではもっと細分化され、細かくなっていますので。
これらはあくまで机上の基準ではありますが、私どものお人形は機械で作る様な量産品ではなく、それぞれの人形師・着付師が誇りを持って手仕事で創っていきますので必ず何センチピッチリというものではなく、良い意味でそれが手作りの良さでもある訳です。
この様に、あくまで業界用語ですので一般のお客様がお聞きになっても、余計に分からなくなってしまうのではと思いますが。
実際にあった話しで、「他所で十番のお雛様は20万円からと言われたんですが、秀月さんでは十番のお雛様って幾らからですか?」や「ネットで十二番のお雛様が○○cmで○○円て出てたんですが、秀月さんの十二番てどれくらいの大きさで幾らですか?」という。。。
なんとお答えしたら良いのやらです。
そして、単に大きいから高価とか小さいから安価というものでもなく、素材等によっても変わり逆に言うと小さ物の方が仕事は難しくなりますので、高価になってしまうなというのもある訳でして。
こうしたことから、売り手も素人の様な者が簡単に扱える物ではなく、ある意味閉鎖的な業界かもしれませんが、それには理由がある訳で専門知識と経験+αが物も言う世界ですので、先にお店選びが重要になってくる訳です。
こうした事から、可能な限りお店にお足を運んで、実物をご覧になる事を強くお勧めします。
大きさは記載されている表記だけでは分かりませんし、表記よりも大きく見えたり小さく見えたりもするものですので。
そして、やはり年の功で物をよくご存知のご両親とご来店されることを更に強くお勧めします。
生活上、ご両親やどちらかでも難しい場合は、私に聞いていただければと思います。
単なる売り文句ではなく、メリットやデメリット等もきちんとお話しし、その子にとって相応しいお飾りを選ぶお手伝いをさせていただきますので。
本日も多くのご来店ご成約、誠にありがとうございました。
十七代目 人形の秀月は皆様のお越しを心よりお待ち申し上げます。
伝えたい日本の心 美しい伝統
人形師 甲冑師 十七代目 人形の秀月